脱原発、反官僚、増税ノーなどを掲げて、第3極を目指す新興勢力が激しく動いている。離党、旗揚げ、合体・合流など離合集散が目まぐるしい。だが、ごちゃごちゃで、何がなんだかわからない、というのが一般の人々の率直な受け止め方ではないか。得票と議席獲得が目当ての場当たり新党、と冷めた目で突き放して見ている有権者も多いに違いない。
11月27日に嘉田滋賀県知事が日本未来の党の結成を表明し、国民の生活が第一などが合流を決めた。解散時、国会に議席を有した新興勢力は、生活、みんなの党、日本維新の会、減税日本、みどりの風、太陽の党の6党だったが、未来の党、みんな、維新の3党に集約される。だが、路線や政策などではっきりしない点が多い。国民にとって総選挙は政権選択の唯一の機会だが、考えあぐね、判断ができずにいる有権者は少なくないだろう。
国民は2005年、09年の総選挙で続けて一党に単独過半数を与えた。05年は「古い自民政治はノー」と「新しい自民党を」、09年は「自民党は1回休み」と「民主党政権を」というふうに、拒絶と期待の選択が一体となっていたが、今回は様子が違う。自民党が第一党になりそうだが、有権者は「民主党はもう結構」という拒絶の選択は示しても、「やっぱり自民党」「もう一度、安倍政権を」という期待の選択を明確にする気配はない。
であれば、総選挙後のポスト民主党政権は自民党を中心とする連立政権発足の可能性が高い。その場合、中核を担う自民党はもちろん、選挙結果次第で連立参加を考慮する党は、投票前に進んで政権構想、首相候補、結集勢力を明確にして、国民が政権選択を行うための判断材料を示さなければならない。このままでは、総選挙で示された民意とは無関係に選挙後、数合わせによる政党間の合従連衡策で連立政権が誕生する危険性がある。そうなれば、政治不信が高まる。代議制民主主義と政党政治の死に至る道だ。今回、史上稀に見る混迷総選挙を招いた各党は、最低でもそうならないための責任を果たす必要がある。
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