「鳩山元首相、総選挙不出馬」と11月21日の朝刊各紙が報じている。そのとおりなら政界引退となる。
「民主党政権の終焉」を前にして、「民主党の創業者」が自身の政治的役割の終焉を認識して身を退くのかと思ったら、そうではなく、TPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加の是非を踏み絵にする野田首相の方針で党の公認が得られなくなり、不出馬に追い込まれたのだという。ただし、鳩山氏は2010年の首相辞任時に「次期総選挙不出馬」を明言して後に撤回した過去があるので、最終的に引退となるかどうかはわからない。
鳩山氏は「政界一のリッチマン」「宇宙人」と呼ばれた。
私財を武器に、民主党を創立して自民党と並ぶ2大政党に仕立て上げ、党首として史上初の本格的政権交代を実現した。その功績は大きい。
最大の失敗は、首相在任中、政権担当能力の欠如から、民主党政権の混迷と低落を招いたことだ。それだけでなく、政権交代を目指した野党時代、幹事長や代表として、「非自民政治」の旗だけで、マニフェストの実現可能性も吟味せず、政権獲得史上主義で突っ走った点も、いまとなっては「鳩山氏の罪」に数えられるだろう。
その自覚があるのか、大敗覚悟で解散に踏み切った野田首相は、「ごった煮・民主党」からの脱皮を狙っているように映る。消費税増税に続き、TPP交渉参加に舵を切った。右寄り路線を鮮明にする安倍自民党に対抗して持論の「中庸」を唱える。「ニュー民主党」を打ち出すのに懸命だ。包括政党の道を棄て、純化路線へ転換を図り始めた。「ごった煮」容認だった鳩山、菅、小沢の3氏の「トロイカ時代」との決別を決断したのだろう。
野田首相は10年くらい前から始めた「第2期民主党をつくる会」をいまも続けているが、「脱トロイカ」の「第2期民主党」づくりのために鳩山氏も追放されたと見ていい。総選挙で第2党に転落しても、「ニュー民主党」で将来の再浮上と政権再奪取が可能、と首相は考えているのかもしれない。
有権者は野田民主党の選択にどんな審判を下すのか。
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