石原前都知事、真の狙いは「父子連携」?! 塩田潮の政治Live!

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第三極結集を唱えて国政復帰を目指す石原前東京都知事が、11月3日の橋下大阪市長との京都会談に続き、8日に国会内でみんなの党の渡辺代表とも協議した。

1030日のたちあがれ日本の会議で「小異を捨てて大同に」と説いたように、石原氏は政策の一致よりも結集を優先させる姿勢である。京都行きの翌4日の朝、フジテレビの番組「新報道2001」に1時間半、生出演し、私もスタジオでおつきあいした。80歳という年齢を感じさせない独演で、ここでも「選挙は日本維新大連合で」「大同団結を」と繰り返し強調した。

気になるのは石原氏の「大同」の狙いだ。

次期総選挙の争点となる原発政策や消費税増税について「対応は大事だが、些細な問題」と言い、これらを「小異」と位置づけている。1025日の都知事辞任の記者会見で、在任中の「国の妨害」を取り上げ、中央官僚制度の改革を訴えた。大きな目標に違いないが、それが「大同」の最大の眼目とは思えない。

最大の狙いは、憲法改正か

実は現代の政治は、体制、外交の基本路線、財政の将来像など、大きな政治選択という点では、民主党、自民党も含め、政党間に1980年代以前のような決定的な対立はなくなっているといっていい。主要な対立軸は、具体的な政策、その実行システムや統治機構のあり方などで、石原氏らの第三勢力も例外ではない。

言ってみれば、既成政党、第三極も含め、政党政治は「大同」の下で「小異」を競う時代だ。政党は政策と実現力が問われる。

百戦錬磨、頭脳明晰の石原氏は、それも承知で「小異を捨てて大同に」と唱えているに違いない。

では、「大同」によって何を成し遂げたいのか。都知事辞任会見で「国政で解決したい問題はいくつかあるが、最たるものが憲法」と語った。「最後の御奉公」は憲法改正、と考えているようだ。だが、4日の「新報道2001」で、「息子の伸晃前幹事長が大きな勢力を持つ自民党との総選挙後の連携は」という私の質問に、石原氏は即座に「是々非々で」と答えた。

もしかすると、「大同」の裏に「父子連携」を視野に入れた石原氏の政界再編戦略が隠されているのかもしれない。だとしても、計算どおりに運ぶかどうか。

塩田 潮 ノンフィクション作家、ジャーナリスト

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しおた うしお / Ushio Shiota

1946年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
第1作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師―代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤』『岸信介』『金融崩壊―昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『安倍晋三の力量』『危機の政権』『新版 民主党の研究』『憲法政戦』『権力の握り方』『復活!自民党の謎』『東京は燃えたか―東京オリンピックと黄金の1960年代』『内閣総理大臣の日本経済』など多数。

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