12月6日、総選挙の序盤情勢を探る新聞各社の世論調査が発表された。いずれも「民主党惨敗・自民党大勝」という情勢だ。自民党は単独過半数獲得の勢いだという。
やはり野田首相のこの時期の解散は失敗だったということになりそうだ。「近いうち」の約束の履行、消費税増税勢力の民自公3党による多数確保、第3極の封じ込めなどを狙ったに違いないが、致命的だったのは民主党の総選挙対策の欠如である。
幹事長人事を含む選挙指導体制、候補者選定、総選挙向けの各種政策の実施や支持率回復策など、どれ一つとっても、不十分どころか無策のまま、首相の専断で総選挙に突っ込んでしまった。
「自滅解散」と言われたが、与党の党首として解散・総選挙のイロハも知らなかったのか、「大敗」後の政界再編を夢想しているのか、それとも「玉砕の美学」に酔ったのか。いずれにしろ、党首なのに、民主党を大切にする気持ちが稀薄だったと言われても仕方がない。
安倍総裁は首相気取り
有権者は前回の総選挙では「自民党ノー」を鮮明にして「変革」を選択した。3年後、政権交代と民主党政権という実験に対して「失敗」の判定を下す気になっているが、急浮上した第3極に傾斜せず、自民党政権の復活を容認する気配だ。
おそらく「変革」よりも「安定」を望んでいるのだろう。07年の参院選以後、5年余に及ぶ衆参ねじれ下の「決められない政治」「無力政治」「不安定政治」からの脱却を強く志向していると見られる。
一方、政権が視野に入った自民党の安倍総裁はすっかり首相気取りで、投票日の2週間以上も前の11月下旬から、早くも新内閣の閣僚人事構想を練っているらしいが、元はといえば「不安定政治」を生み出したのは07年に首相だった安倍氏である。
「安倍新首相」は5年前の「失敗の教訓」を生かして「安定政治」をつくり出せるかどうか。ねじれが続く来夏の次期参院選までは「安全運転第一」でと考えているようだが、国民の多くが望む「安定政治」が実現できなければ、総選挙大勝でも、あっという間に政権は失速する。
(撮影:尾形文繁)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら