安倍内閣、組閣のポイントはココだ 塩田潮の政治Live!

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現行選挙制度での6回目の総選挙だったが、「大勝と惨敗」の最近の3回で、政権選択選挙という形が定着した感がある。

自民党と公明党に3分の2の議席を与え、参議院否決法案の衆議院での再可決・成立を容認するという選挙結果は、前回の安倍政権以来の「決められない政治」「無力政治」との決別に対する民意の強い意志と見るべきだろう。 

安倍次期首相は「決める政治を」と託された。選挙中から憲法改正、国益追求外交、脱デフレの安倍流経済政策など、独自路線を明確にしてきたが、政権担当後、ただちに行動を起こして突っ走るのか、それとも前回の政権担当時の反省から、来夏の参院選まで「安全運転」を心がけるのか。

占うカギは来週と見られる第2次安倍内閣の組閣人事だろう。

民主党政権の失敗は、自民党政権の負の遺産、霞が関の官僚機構、アメリカ、それに熱しやすくて冷めやすい移り気な国民という「4つの壁」を克服できなかったのが原因である。実は安倍政権も同じように4つの壁を背負う。消費税増税や原発問題などの民主党政権のツケ、霞が関、冷めやすい国民、それに安倍政権の場合はアメリカでなく、中国の壁だ。

安倍首相はそこを意識しながら組閣を進めることになる。消費税増税をめぐる3党合意、脱デフレ対策と財政再建で向かい合う財務省、対中関係、国民の期待のつなぎ止めがポイントだ。

前回は閣僚の不祥事続出に泣かされたが、入閣候補の身体検査は徹底させる。同時に財務相、経済財政相、外相には、麻生元首相、谷垣前総裁、高村副総裁といった重量級を配する。外向けには強硬派だが、内向けには融和型の安倍氏は、挙党態勢・派閥均衡で「自民党の総力」をアピールするとともに、政権の足元固めを図るつもりではないか。

最大の敵は「冷めやすい国民」だ。総選挙大勝でも、国民が見限り始めたら雪の下り坂の雪だるまというのは、民主党政権が証明している。勝ちすぎでいい気にならず、最初の半年は「安全運転」で、というのが基本スタンスと見る。安倍首相に妙手はあるのか。

(撮影 梅谷秀司)

塩田 潮 ノンフィクション作家、ジャーナリスト

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しおた うしお / Ushio Shiota

1946年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
第1作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師―代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤』『岸信介』『金融崩壊―昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『安倍晋三の力量』『危機の政権』『新版 民主党の研究』『憲法政戦』『権力の握り方』『復活!自民党の謎』『東京は燃えたか―東京オリンピックと黄金の1960年代』『内閣総理大臣の日本経済』など多数。

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