円安攻勢をかける自民党 市場動向を読む(為替)

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「日本経済再生本部こそ自民党と民主党の違いである」。自民党の安倍総裁は本部長として臨んだ日本経済再生本部の第1 回会合の冒頭で語った。本部長代理は甘利政調会長。上げ潮派と目される2 人がトップ2にそろった。

日本経済再生本部は10 月下旬に発足。その後、2 週間で4 回の会合を開き、先月16 日の中間報告にこぎjつけた。第1 回会合の講師は小松製作所の坂根正弘会長、第2回は日本経済研究センターの岩田一政理事長、第3 回は京都大学の山中伸弥教授、第4 回はトヨタファイナンシャルサービスの平野英治副社長だった。

自民党の日本経済再生本部が掲げる円安政策

その内、坂根氏、岩田氏、平野氏の3 人は日本が「円高→デフレ→円高」の悪循環に陥っているとの認識を披露。特に、白川方明総裁の後の日本銀行の総裁候補の一人とも言われる岩田氏は、自説である日銀による外債購入を主張。また、その後、中間報告に盛り込まれた官民協調の外債投資ファンドの設立もこのとき、提案していた。

中間報告で日本経済再生本部が示した基本方針は次の5つだ。

(1)「縮小均衡の分配政策」から「成長による富の創出」へ転換を図る。これは、野田民主党政権の増税重視の財政緊縮路線から安倍氏らが属する上げ潮派路線へ経済政策の舵を切ることを意味する。

(2)名目3%以上の経済成長を目指す。

(3)日本を産業投資立国化する。つまり、日本企業による対外直接投資を促し、所得収支の黒字を増やすことで、日本の国民所得の増大を図る。

(4)金融緩和でデフレ、円高を克服する。

(5)海外需要の落ち込みや消費税引率き上げに伴う需要不足を、補正予算など弾力的かつ十分な財政出動で補う。

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