日銀に圧力を掛けるだけなら、再び円高に

市場動向を読む(為替)

円は2010年、11年と2年連続で主要通貨の中で最強の通貨となった後、12年は今のところ、一転して主要通貨の中で最弱の通貨となっている。当社が算出した円の名目実効レート(円と主要な他通貨間の為替レートを貿易ウエイトに応じて加重平均して算出した指数)は、10年に13.4%、11年に6.2%それぞれ上昇した後、今年は今のところ4.2%下落している。

日銀へ追加緩和促す圧力高まる

今年円が弱い通貨となった背景としては、1)日銀による積極的な金融緩和及びそれに対する期待を背景とした円売り、2)欧州危機を受けた「リスク・オフ」の度合いが、10年、11年に比べてマイルドであったこと、3)日本の国際収支の一段の悪化、4)主要国中央銀行の積極的な金融緩和も一因となって通貨のボラティリティが大きく低下したことなどが考えられる。

特にここ一カ月ぐらいでの円安傾向には、1)の日銀による追加緩和期待が大きく影響を与えていると考えられる。

市場参加者の間では、12月16日に行われる予定の総選挙で自民党が政権に返り咲き、安倍晋三自民党総裁が首相となった暁には、日銀に対する金融緩和プレッシャーがさらに強まり、為替相場も円安になるとの期待が一段と強くなっている。また、来年3月~4月に任期を迎える白川方明日銀総裁、山口廣秀・西村清彦両日銀副総裁の代わりに、金融緩和にもっと積極的な人物が就任するのではないかとの思惑も強い。

しかし、来る総選挙で選ばれた新政権が今まで通り日銀に圧力を掛けるだけで、自ら需要を喚起し、デフレを生みやすい経済構造を変革する政策を遂行しないのであれば、結局は何も変わらず、期待を背景に膨らんだ円の売り持ちポジションが買い戻され、円相場は再び円高方向に戻っていくことになるであろう。

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