難しさ増す日銀の舵取り 市場は次の緩和を期待
いったいいつになったら決定内容が公表されるのか−−。市場関係者はそう思ったに違いない。
日銀の金融政策決定会合は、その内容が「現状維持」ならば12時台、追加緩和の決定がある場合でも13時台に発表されるのが”通例”だ。しかし、30日の会合では、14時を過ぎてもいっこうに決定が公表されず、ようやく14時46分になって追加緩和の内容が発表された。
全員一致で決定した今回の追加緩和策は、金融緩和のツールとして使っている資産買入等基金(基金)の総額を80兆円から91兆円へ11兆円程度増額するというもの。買い増す資産は国債が10兆円で、ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)など複数のリスク資産で1兆円。決定会合前から市場での緩和観測が強まる中、大方の市場関係者が予想していた規模と手法だったため、特段のサプライズはなかった。
むしろ、想定内の規模で市場が拍子抜けしたともいうべきか、株式取引の終了直前に公表された内容を受けて日経平均株価は値を下げた。
今回、日銀では海外経済の減速が強まっていることを理由に、景気判断を10月5日の決定会合で「横ばい圏の動き」としていたものを「弱含みとなっている」と9月に続いて再び下方修正した。事実上のインフレ・ターゲットとして設定している物価上昇率1%に対し、新たに公表した経済・物価情勢の展望(展望レポート)で示した14年度の物価見通しは0.8%と目標には届かなかった(下図参照)。
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