格安航空8社連合は一体どれだけ戦えるのか 大手軸の世界3陣営に挑む新興勢力の全貌
バリューアライアンスを主導する1人である、シンガポール航空の日本支社長も歴任したスクートのキャンベル・ウィルソンCEOはエアアジアやジェットスターのようなフランチャイズ方式との違いについて、こう話す。
「LCCは(都市間を直接結ぶ)ポイントtoポイントのサービスから始めました。しかし、そこから先へ乗り継げることにより広域の中で知名度を上げることができる。広域をカバーするには、エアアジアのようにフランチャイズ方式か、われわれのようなアライアンスの方式でやるかのどちらかになる。フランチャイズの場合、違うマーケットに同じブランドをばらまくことになる。フランチャイズではルールを決めて、そのマーケットに合わないルールで営業していかなければならないことも多く、これは経済的には成り立たないだろう。
私たちはそうではなく、自分の本拠地の国でしっかりとした存在であるLCCを集めてアライアンスとしてやったほうが効率的であり、それぞれの航空会社が自国のマーケットにおいて自分たちの事業計画に基づいて成長させていくことで、アライアンス自体も大きくなってくる」
これはフルサービスキャリアが加盟するアライアンスに考え方は近いものの、アライアンスの運営方式は大きく異なる。
加盟航空会社の負担金も基本なし
アライアンスといえば、大手航空会社のイメージがあり、すでにフルサービスキャリアのほとんどが3陣営いずれかのアライアンスに加盟しているのに対し、LCCでは一部例外もあるが基本的にフルサービスキャリアが中心の上記のアライアンスの加盟はない。
従来のアライアンスの枠組みは、加盟航空会社が負担金を拠出してアライアンスの本部を置く。スターアライアンスならドイツのフランクフルトだ。そこへ専属スタッフを置き、新規加盟航空会社のサポートをはじめ、マイレージプログラムやITインフラの構築などを行っている。
対して、バリューアライアンスは本部も専任のスタッフも置かず、基本的には加盟航空会社の負担金もない。負担金があることで、低価格の運賃を維持できなくなればアライアンスに入ることは逆効果になるという考え方からだ。アライアンスの特徴であるマイレージプログラム(FFP)の導入やスルーチェックインなどのサービスは行わない。あくまでもLCC各社に大きな負担にならない部分でのアライアンスであり、予約アップに寄与するシステムを他社と接続させる部分の投資などに限定される。
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