ANAのマレーシア線がJALと競合しない理由 13年ぶり再参入の狙いと課題を探る
東南アジアの中心に位置するマレーシア。マレー半島とボルネオ島の一部・サバサラワク州から成り立ち、約3000万の人口を抱える。IMF(国際通貨基金)によれば、2014年の国民1人当たりのGDP(国内総生産)は約1万0800ドルと、シンガポール(同約5万6000ドル)や日本(同約3万6000ドル)ほどではないが、タイの2倍前後、インドネシアやフィリピンの3倍前後と、東南アジアの中では経済的に潤った国の一つだ。
首都はクアラルンプール。180万人以上が暮らす街である。そんな東南アジア有数の大都市と、日本の成田国際空港を直行で結ぶ空路がこの9月から拡充された。全日本空輸(ANA)が、成田-クアラルンプール線を就航したのだ。
利用者低迷で2002年に運休していた
ANAはかつて1995年~2001年にかけて関西国際空港-クアラルンプール線、2001年~2002年に成田-クアラルンプール線(ともにバンコク経由)をそれぞれ運航していたものの、NY同時多発テロを受けた利用者低迷の影響をはじめとして、路線再編の一環で運休を余儀なくされた。つまり、ANAにとってマレーシア線は13年ぶりの再参入となる。
これまで成田-クアラルンプール線は、日本航空(JAL)とマレーシア航空、東南アジア最大のLCC(格安航空会社)であるエアアジアの中長距離線ブランド「エアアジアX」が、運航してきた。ただ、エアアジアXは成田-クアラルンプール線を今年8月に運休して、2010年12月に就航した羽田-クアラルンプール線に集約した。
ANAは、ここに割って入る。
日本の2大航空会社の一翼を担うANAが就航するのだから、「マレーシアへの出張や観光のために移動する日本人利用者がメインターゲットで、JALと真っ向から競合するのだろう」と思ったら大間違いだ。
ANA、JAL、マレーシア航空、エアアジアXが、首都圏空港とクアラルンプールを結ぶ路線の運航ダイヤを見てみよう。
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