エアバス「A350」、乗ってわかったその実力 ボーイング「777」の対抗機が日本で初飛行

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「A350」は座席数300前後の大型機だ(写真はエアバス提供)

「静かだった」――。参加者のほとんどが、こう口をそろえた。

11月20日、東京・羽田空港。前日、日本の地に初めて降り立った欧州エアバスの最新鋭大型旅客機「A350」が報道陣などに初公開され、デモフライト(遊覧フライト)も実施された。遊覧フライトには報道関係者をはじめとして、A350を大量発注している日本航空(JAL)関係者や招待客などが参加。筆者も搭乗した。

A350は座席数300前後で、JALは長距離国際線などを中心にで飛ばしている米ボーイングの大型機「777」の後継と位置づけている。エアバスはA350初号機を、カタール航空へ12月にも納入。カタール航空が世界の航空会社で初めて導入するローンチカスタマーになる予定だ。国内ではJALが確定で31機、オプション25機を加えた56機を発注し、JALのA350初号機は2019年に納入される見通し。エアバスは2014年10月末で世界39の航空会社から750機を受注している。

「本当によくできた飛行機だ」

20日、A350の遊覧フライトを終えた直後、パイロット出身であるJAL植木義晴社長は「離陸から着陸までコックピットにいた。パイロットしての感覚ではあるが、本当によくできた飛行機で正しい決断をした」と開口一番に話した。

そんなA350は乗客から見るとどんな飛行機なのか、実際に体験搭乗して感じたことをまとめてみよう。

まず出発前だ。真新しい飛行機は、機内に入った瞬間から気持ちよい。乗り込んですぐに感じたが、機内が非常に明るい。窓が大きいこともあり、外の光を上手に取り込んでいるのに加え、LED照明を採用している点などが要因だろう。

ただし、ボーイングの最新鋭中型機「787」と比較してみると、違う評価もできる。787はボタンひとつで透過光量を5段階に電動で調整できる窓を備えている。対してA350では従来機と同様に上下に開閉するシェードは手動式となっており、窓の機能については787に軍配があがる。 ちなみに787は特に窓側が人気で、国内線に投入している全日本空輸(ANA)では窓側から埋まる傾向があるという。

次に荷物の収納スペースだ。A350の頭上スペースは、ライバルの777に比べて広い。到着後、すぐに行動したい人を中心に機内持ち込み可能なサイズぎりぎりのキャリーバックの収納にもゆとりを感じるスペースが確保されていた。これはビジネスマンを中心に重宝することになると思う。エアバス社の説明でも、1つの手荷物棚に5つのキャリーバック(機内持ち込み可能サイズ)が収納可能であるなど、全クラスで乗客全員がキャリーバックを持ち込める想定で設計されている。この点は非常に評価できる。

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