エアバス「A350」、乗ってわかったその実力 ボーイング「777」の対抗機が日本で初飛行
そして、いよいよ離陸だ。筆者は機体中央からやや後方の位置に座っていたが、大型機でありながらエンジン音が静かなことに驚いた。感覚的には同じく静かだと評価されているボーイング787よりも静粛性が高いと感じた。
筆者は今回の遊覧フライト直後、ボーイングの小型機「737」で羽田から九州へ移動したが、手持ちの「iPhone6」で同じイヤホンを使って音楽を聴き比べた印象は、高価なヘッドホンで騒音をカットする「ノイズキャンセリング」機能が働いているか、いないかぐらいの違いがあるように感じた。
空気が乾燥しないのも特徴
今回は時間にして約1時間、高度は約2万4000フィート(約7200メートル)でのフライトだったが、筆者が持参した湿度計は18~21%を指していた。A350では、ボーイング787と同様に機内での湿度を適度に保って空気が乾燥しないのも特徴といえるが、これは長距離フライトで特に効果を発揮する為、現時点での評価が難しい。
今回、日本に飛来したA350-900(試験飛行5号機)は、ビジネスクラス42席、エコノミークラス223席の計265席で構成されていた(標準座席数は315席)。そのシートは左端の座席の肘掛から右側の座席の肘幅まで5.58メートルの横幅が確保されており、エアバス社が推奨する3ー3ー3(横9列)のエコノミークラスでは、横幅の広いシート(18インチ=45.7センチ)を導入させることが可能だ。実際に今回のエアバスにも装着された。
遊覧フライトで座ってみても、横幅が広いと実感できた。ただ、A350を各航空会社が運航する際には航空会社ごとにシートの仕様は異なってくる。同じエコノミークラスでも3-3-3の横9列が基本になるが、3-4-3の横10列も不可能ではなく、またシートピッチ(シート前後間隔)についても、狭くすれば座席数を増やせ、広くすれば座席数は減るが快適性が向上する。
収益の柱となるビジネスクラスにおいても導入するシート次第で乗客の快適性は大きく変わる。JALの植木社長は「最高の座席を付け、最高のサービスでお迎えしたいと考えている」と話す。JALはA350を777の後継に位置づけていることから、東京-ニューヨークやロンドン、パリなどといった国際線のビジネス路線に投入される可能性が高い。5年後に向けて画期的なシートの導入が期待される。
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