「B777」後継機、製造担う日本勢に試練 三菱重工など5社の参画が決定
米国ボーイング社が開発を進める次期大型旅客機「777X」シリーズ。その製造分担をめぐって、三菱重工業や川崎重工業など日本企業5社とボーイングが合意に達し、12日に主要契約条件に関する覚え書きを交わした。現行の「777」型機は、主要構造部位の21%を日本企業が製造。次期777Xでも21%を日本企業が担うことが明らかにされた。
777は1995年に誕生して以来、引き渡し機数がすでに1000機を超え、現在も年間約100機を生産する300席超のベストセラー大型旅客機だ。次期777Xはその改良版後継機。新型の主翼や最新鋭エンジンの採用などで燃費性能の大幅な改善を目指しており、2020年から機体の引き渡しが始まる予定だ。
777Xの製造に参画が決まったのは、三菱重工、川崎重工、富士重工業、新明和工業、日本飛行機の5社。いずれも現行の777の製造に関わっており、次期777Xでも同じ部位の製造を担う。具体的には、三菱重工が後部・尾部胴体パネルと旅客扉、川崎重工が前部・中部胴体パネルや主脚格納部など、富士重工は中央翼や翼胴フェアリング(前部)など、新明和は翼胴フェアリング(中・後部)、日飛は主翼構成品を製造する。
ボーイング依存度が高い日本の航空機産業
ボーイング民間航空機部門のレイ・コナー社長兼CEOは、「日本のサプライヤーは高い品質を維持し、納期もきちんと守ってくれる」と5社の実績を高く評価したうえで、「777Xの成功も日本企業の頑張りに掛かっている」と期待を寄せた。
日本の航空機産業にとって、ボーイングは極めて重要な存在だ。国内における民間航空機関連の生産・修理金額は年間8300億円(2013年実績)。そのうちボーイング関連だけで5000億円前後を占めており、日本の航空機産業はボーイングとの取引によって成立している、と言っても過言ではない。
しかし、民間航空機の市場は安定的な成長が確実視されているため、ボーイングとの取引拡大を狙う企業は世界で数多い。今や日本勢のライバルは欧米のサプライヤーだけでなく、近年は安価な労働力を武器とする中国や東南アジア、中東などの企業も脅威となりつつある。
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