羽田が国際空港になりきれていない理由 ビジネスユースの使い勝手は不十分

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訪日外国人客は2013年に初めて年間1000万人を達成した。政府は2020年の東京五輪に向けて同2000万人への倍増をもくろんでいる。航空会社の役割は大きく、空港(エアポート)はその起点であり要だ。本連載では日本国内のみならず、海外の事例も交えてエアポートの最前線を追う。第1回は羽田空港だ。
羽田空港の国際線発着枠は2014年春に従来の1.5倍となる9万回まで引き上げられた(撮影:尾形 文繁)

東京・羽田空港。都心からのアクセスに優れ、24時間の離発着に対応する日本屈指の国際空港の利便性が増している。欧州、東南アジア便などを軸に今春から国際線が大幅増便。併せて関連する空港内エリアの拡張や国際線ターミナル直結ホテルが開設され、10月下旬には早朝・深夜発着に対応したバスの実証実験も始まった。

もともと、成田空港では出発1時間前となっている搭乗手続き締め切り時刻も、羽田では同40~45分前。鉄道駅から飛行機に乗るまでの距離が短いうえ、国内地方空港とのネットワークも成田に比べてはるかに強固だ。2020年の東京五輪開催に向けて政府が掲げる訪日外国人客2000万人の目標達成に向けて、羽田が果たす役割は大きい。ところが、羽田は世界の空港に比べるとまだ国際空港になりきれていない部分も少なくない。特にビジネスユースでみると顕著だ。

保安検査場が混雑

まずは保安検査場の混雑が目立つ。便が重なる午前中や夜22~23時台を中心に羽田の保安検査場前には長い行列ができる。今年3月末には拡張エリアにも新しい保安検査場・出国審査場がオープンしたが、あまり周知されておらず空いているケースも多く、もったいない。

何よりもビジネスマンに不評なのが優先保安検査場。日本の航空会社でいえば全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)のようなフルサービスキャリアが拠点とする空港の多くは、ビジネスクラス以上や、マイレージプログラム(FFP=フリークエント・フライヤーズ・プログラム)の上級会員を対象に優先保安検査場を設置。成田でも同様の運用となっているが、羽田では国際線ターミナルのオープン後からしばらくは優先保安検査場すらなかった。

現在、優先保安検査場は設置されているもののファーストクラスやマイレージ上級会員のみで、ビジネスクラス客は使えない。成田を含めて、海外の主要空港ではビジネスクラス客が優先保安検査場を利用できるのが当たり前になっている分、残念に感じる部分だ。

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