スカイマーク米子撤退が映す地方空港の煩悶 格安エアラインが定着しないのはなぜか

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スカイマークは創業来の経営危機を迎えている(撮影:尾形 文繁)

山陰地方に降り立った新興エアラインが、2年も経たずに去る――。

安い運賃を武器とするスカイマークが、来年(2015年)8月末をメドに鳥取県の米子空港を発着する路線からすべて撤退する見通しになった。エアバスの超大型機「A380」のキャンセルによる違約金問題を発端に経営不安が台頭。再建に向けた不採算路線見直しの一環となる。

今年(2014年)8月の米子発着のスカイマーク便の運航便数を見ると、羽田便2往復、成田便2往復、神戸便2往復、札幌便1往復、沖縄便1往復の合計8往復(16便)を運航していた。このうちすでに今年10月末で羽田、成田、札幌の3路線からは撤退。運航を続けている神戸、沖縄便についても来夏で運休されることになった。従来は来春から羽田便が復活する予定となっていたが、これも撤回され完全撤退となりそうだ。

搭乗率は採算ラインを下回る

一般的には大手航空会社は搭乗率6割、低価格運賃の航空会社では搭乗率7割が採算ラインとされている。だが、スカイマークの米子路線は夏休み期間中を除けば搭乗率は苦戦。8月でこそ羽田便の搭乗率が78.5%を記録したものの、70%を超えたのは7、8月のみでそれ以外は6割前後で推移し、成田線に至っては30%台という低搭乗率。現在就航中の米子~神戸線の11月の搭乗率は55.5%、米子~那覇線に至っては49.4%だった。

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(週刊東洋経済2014年9月6日号掲載の図を転用、スカイマークの有価証券報告書などを基に作成した雑誌発売時点の情報です)

日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)の両方へ救済のための提携を打診しているスカイマークの窮状を鑑みれば、米子からの撤退はやむをえないのかもしれない。そもそもスカイマークは参入・撤退を繰り返してきた歴史がある。

ただし、地元の反応は違う。スカイマークの米子路線といえば、今からちょうど1年前の昨年(2013年)12月に就航したばかり。米子空港は、島根県との県境に位置する境港市にある。鳥取西部や島根東部を訪れる人や周辺住民の利用が主だ。鳥取、島根両県は新幹線が走っておらず、特に鳥取西部は公共交通の便もよくない。首都圏をはじめとする遠方への移動は、航空路線が有力な手段の1つになっており、米子から発着するのはもともとANAのみだった。ANAと比べて相対的に運賃の安いスカイマークの就航は、地元が熱望したことだったからだ。

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