絶好調デサント、ポスト「水沢ダウン」の成算 韓国での成功ひっさげ中国・欧州へ本格展開

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2015年春夏物から日本と韓国で新展開を始めた「デサントゴルフ」の商品群

というのも、直営店主体の韓国と比べ、国内は卸主体の商慣習が今も根強い。

たとえば「デサントゴルフ」の展開。2015年春夏物から日韓で同時投入した新カテゴリーのデサントゴルフは、2015年3月末までに韓国では直営店55店をオープンしたが、日本ではいくつかのスポーツチェーンで扱われたり、原宿の直営店で期間限定展開されたりする程度。2016年春から新宿小田急ハルクなど3つの百貨店の展開が始まったばかりだ。

日本と韓国で研究開発拠点を新たに設立

こうした店舗展開とともに重要になるのが、商品力の強化だ。国内では水沢ダウンに次ぐヒット商品を生み出すことができるか。欧州・中国では、店舗拡大を支えていけるだけの現地ニーズに合った商品を開発・供給できるか。

そのためにデサントは、日本でアパレル、韓国でシューズのR&Dセンターを新たに設立し、グローバルに通用する高機能商品を開発する。水沢ダウンなど、高度な技術力が求められる「デサントオルテライン」を生産する水沢工場(岩手県)は、能力増強に着手し、2019年末までに生産能力を3割拡大させる。

こうした「販売体制」と「ものづくり」の両輪を強化していかなければ、デサントのさらなる飛躍はない。今2017年3月期は、円高・韓国ウォン安により、売上高で約100億円の減収要因が見込まれる。このため今期は、売上高が前期比1.6%増、営業利益は同0.2%増と、これまでの高成長から一転、伸びが小幅にとどまる。

今後、韓国以外のエリアを伸ばし、為替影響を吹き飛ばせるくらいにならなければ、直近までの4連続2ケタ増収という輝かしい記録は、優れた韓国人社長を招くことができたことによる偶然とも見られかねない。次の3年間にこそ、デサントの真価が問われる。

                        (写真は記者撮影)

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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