絶好調デサント、ポスト「水沢ダウン」の成算 韓国での成功ひっさげ中国・欧州へ本格展開

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水沢工場の技術を生かした無縫製のポロシャツは3万円台

デサントの業績は絶好調だ。2016年3月期決算は、売上高1357億円(前期比10%増)、営業利益103億円(同14%増)、純益78億円(同20%増)だった。

売上高、営業利益とも2ケタの伸びを記録し、3期連続で最高益を達成した。

10万円前後の高単価商品「水沢ダウン」がヒットしたことや、商品の発注管理の徹底により国内の粗利益率が改善したことが貢献した。

結果、主要拠点である国内、韓国、中国(香港含む)すべてで増益を達成した。収益の柱は韓国で、売上高の6割近くを韓国で稼ぐ。増収分の約8割も韓国によるもの。海外売上高比率は60%に達した。

韓国では機動的な商品投入ができている

韓国事業拡大の要因は、現地主導の企画、宣伝が徹底していることだ。韓国のビジネスは直営店展開を原則としている。ここに、現地企画商品を適宜投入している。

販売シーズンに入る前にすべての商品企画を終える日本とは異なり、韓国では全商品の3割を期中に企画・投入しているため、ニーズを反映した商品展開がしやすい。

2010年、現地法人の社長に就任した金勲道氏は、日本の大学を卒業し、韓国の販売会社に勤務した経歴を持っており、日本語も堪能だ。彼のリーダーシップにより、現地の著名人を使った広告宣伝も展開し、韓国で「デサント」ブランドを確立させた。

「成果は、1番伸ばしたかったデサントブランドを伸ばせたこと」と石本雅敏デサント社長は前期を振り返る。自社ブランドであるデサント(2015年8月に買収したイノヴェイトも含む)の売り上げ構成比が37%と初めてトップになったのだ。韓国での伸びが寄与した。

これまでデサントは、「ルコックスポルティフ」、「アリーナ」、「アンブロ」、「マンシングウェア」といった海外メーカーから買い取ったブランドの販売が中心だった。だが、これらは展開地域がアジアだけなどに限られる。

一方、自社ブランドの「デサント」や「イノヴェイト」は全世界で展開できる。それらを伸ばしてトップブランドに育て上げられたことは、今後の成長を狙ううえで重要な武器となる。

次ページ日本、韓国に次ぐ第3の柱の育成へ
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