なぜ羽田空港は「世界で一番清潔」なのか? 清掃スタッフ700人の指導役が語る「秘密」

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人通りの多い場所は、早朝や夜間に清掃します。たとえば、フロア内は基本的に夜間清掃(夜の9時半から朝の4時まで)です。静電気でホコリを呼びやすいエスカレーターの手すりや周囲の壁、エレベーターの扉や床、ロビーに設置されたソファなども毎日、清掃して清潔さをキープするのが私たちの仕事なのです。

羽田空港が世界一になれたワケ

それにしてもなぜ、羽田空港が世界一になれたのでしょうか。それは、大人数の清掃員が一生懸命、清掃しているからだけではありません。羽田空港ならではのシステムのおかげだと思います。つまり、清潔さを維持するチェック体制が確立されているからです。

大勢のお客さまが利用される場所ですから、決まった時間や回数だけでは対応できないケースも出てきます。それを放置しないで、スピーディに対応する。清掃員が予想外の作業にもスムーズに取りかかれる。その体制作りが重要なのです。

たとえば、団体のお客さまが集合された後は、ゴミがいろいろ落ちているものです。団体のお客さまに限らず、ふと見ると、ソファまわりにスーツケースを引きずった跡が残っていたり、洗面所が思いのほか汚れていたり、コインロッカーに飲みものがこぼれて濡れているのを発見することもあります。そういう場合、少しでも早く見つけて対応することが大事です。時間が経つほど汚れが広がり、お客さまに不愉快な思いをさせてしまいます。クレームが入る前にスピーディに処理する。これが鉄則です。

羽田空港では、清掃員とは別に、空港内を巡回して、汚れている場所をチェックするスタッフがいます。ゴミが落ちていれば自分で拾いますし、プランターの花が枯れていれば摘んできれいにします。歩きながら汚れている場所に気づいたら、即センターに連絡を入れます。「第1ターミナルの2階、S・○○のトイレの床が濡れているので清掃をお願いします」という感じです。洗面所にはすべて「S・○○」「N・○○」と番号がついています。Sが南ウイング、Nが北ウイングのことです。

お客さまからご指摘があった場合は、近くの目標物などをお聞きします。
連絡があるとセンターから近くにいる清掃員に連絡、該当箇所の清掃をお願いします。

連絡を受けた清掃員は、いったん持ち場を離れ、指示された場所に向かって、清掃に取りかかります。フロアの一角の目立たないところに、ひっそりと清掃用具一式を収納したカートが置いてあるので、道具を持ち歩かなくても、ほとんどの作業ができてしまいます。そして、清掃が終わればセンターに報告して、再び自分の持ち場に戻ります。報告を受けたセンターから、汚れた場所を見つけたスタッフに再び連絡して、一連の作業が終わります。

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