なぜ羽田空港は「世界で一番清潔」なのか? 清掃スタッフ700人の指導役が語る「秘密」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

どの時間帯に清掃し、どうスタッフを配置するか。この準備がもっとも重要で、正式オープン前にすべて決めておかなければなりません。たとえば、人造大理石、タイル、木のフローリング……床材ひとつとっても、対応可能な洗剤が違います。適切な洗剤を使わないと素材を傷めてしまいます。

空港の清掃という難しさ

空港の清掃には技術面だけでなく、オフィスビルとは違う難しさがあります。まず、基本的にお客さまがいらっしゃるときに清掃をおこないます。もちろん、早朝や夜間の作業もありますが、利用される洗面所、ロビーなどの清掃は日中に実施しています。つまり、お客さまの目に触れることを前提として、作業をしなければなりません。きれいになりさえすればOKというわけにはいかず、「サービス業」としての清掃を意識する必要があります。

たとえば、身だしなみもその1つです。清掃員の制服は決まっていますが、だらしない着こなし、前をはだけていたり、アクセサリーをじゃらじゃらつけたりするのはNGです。女性は髪の毛が目にかかったり、落ちてこないように、ロングヘアの場合は結んだり、ピンで留めたり、きちんとしたスタイルにするのが基本です。香水も避けなくてはいけません。アレルギーの人はわずかなにおいにも反応し、くしゃみが止まらなくなるケースもあります。たとえ作業着であっても、清潔さとお客さまに対する配慮とを忘れてはいけないのです。

また、動作や表情にも気をつける必要があります。不機嫌そうに仕事をしていたのでは、せっかく楽しい気分で旅行にお出かけになるお客さまの気持ちに水を差してしまいます。作業に夢中になっていると、周囲のことが見えなくなりがちです。なるべく笑顔で、お客さまの邪魔をしないように気をつけて清掃する。

次ページお客様に近い場所にいるからこそ
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事