「ごきげんよう」終了と「めちゃイケ」続行の差 「テレビの看板」長寿番組に何が起きているか

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これは裏を返せば、「番組フォーマットが視聴者を引きつけていれば、司会者の変更がテコ入れ策になる」ということ。「視聴率が落ちたときに司会者を替える」という選択肢が成立するのですが、反面「『めちゃイケ』『みなおか』のような視聴率が重要な時間帯で、“特定の司会者ありき”の番組は、今後も打ち切りの危険がつきまとう」ということになります。

ちなみに、桂文枝さんの不倫騒動で揺れる放送45年の『新婚さんいらっしゃい』(テレビ朝日系)も番組フォーマットが視聴者を引きつけているだけに、制作サイドがどんな結論を出すのか、注目が集まります。

長寿番組はアパレルの旗艦店

ここまでは各局の思惑を書いてきましたが、編成担当者や各番組のプロデューサーなど現場の人々はどう考えているのでしょうか? 私が各局に出入りして聞いてきたところによると、テレビ局員にとって看板番組は、やはり思い入れの深いものであり、「できれば終わらせたくない」というのが本音でした。

また、「“自局の象徴”として存在することに意義がある」という声も多く、「大きな声では言えないけど、どんなに視聴率が下がっても打ち切りは避けるべき」と言う人さえいたのです。この考え方に近いのは、アパレルブランドの旗艦店(フラッグシップショップ)。繁華街の店舗では、「客数こそ落ちていないものの、商品を見るだけ見てネットショップで買う人が増えて、売り上げが落ちている」という声をよく聞きます。それでも存続させているのは、「繁華街の店舗はブランドの象徴として欠かせない」からでしょう。

そもそも消費者にとって、ブランドへの愛着と「どこで買うか?」は無関係。旗艦店を売上低下という理由で閉店すると、ブランド全体のイメージダウンにつながってしまうように、長寿番組も視聴率低下という理由で終了すると、テレビ局全体のイメージダウンにつながりかねません。特に最近は「好きな番組ほど録画してじっくり見る」傾向が強く、視聴率には反映されないだけに、長年の愛着がある長寿番組の扱いは慎重にすべきなのです。

その意味で『めちゃイケ』と『みなおか』は、フジテレビだけでなく、バラエティー番組全体にとって旗艦店のような存在。多少視聴率が悪くても、「最近、面白くない」と言われても、フジテレビやバラエティー番組の象徴として存在し続けることが価値のひとつともいえます。

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