フジテレビのドラマがなんとも「惜しい」理由

あの成功体験に縛られすぎていないか

フジテレビはほんの5年前まで圧倒的な強さを誇っていたが……(撮影:今井 康一)

2010年まで7年連続で視聴率三冠王に輝いてから5年、フジテレビの低迷が叫ばれて久しくなっています。今年6月には、同局の番組『ボクらの時代』に出演した女性アナウンサーが自局について、「積極的に嫌われている」「見向きされない」と発言したことが話題になるなど、視聴率だけでなくネガティブなイメージに苦しんでいる様子がうかがえます。

それはフジテレビの看板商品であるドラマも同じ。この10月からスタートした今期は『5→9 ~私に恋したお坊さん~』がかろうじて2ケタの視聴率を記録しているものの、『サイレーン』『無痛~診える眼~』『オトナ女子』は7~9%の低視聴率で推移していますし、識者のコメントや視聴者のクチコミを見ても、多くの支持を集めているとはいえません。

ただ、ドラマ解説をしている私から見たら、スタッフは実力者ぞろいで、扱うテーマも悪くない。丁寧に作られているいい作品も多いのに、制作側の狙いと視聴者のニーズが少しズレていて「惜しい」気がするのです。ここではフジテレビのドラマに何が起きているのか? 今期の作品を1つずつ分析しながら、苦戦の理由を探っていきます。

トップと現場の意見に食い違い?

月曜21時の『5→9 ~私に恋したお坊さん~』は、「月9は原点のラブストーリーで勝負」という意志を貫いたラブコメ。英会話教師とお坊さんというユニークな組み合わせは、1990年代のラブコメ全盛期を思わせるポップさがあり、一定層のファンをつかんでいます。

しかし気になるのは、メインのコンセプトがブレていること。フジテレビの亀山千広社長は、月9の前作『恋仲』の放送が決まったとき、「『オリジナルをやろう』という気概があるのがいい」、さらに大多亮常務は「『月9』は基本、オリジナルラブストーリーをやり続けていかないといけない」と語っていました。

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