フジテレビのドラマがなんとも「惜しい」理由 あの成功体験に縛られすぎていないか

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フジテレビが水曜22時のドラマを放送しはじめたのは、2013年4月から。1999年以来14年ぶりの復活で、第1弾の櫻井翔さん主演『家族ゲーム』は人気を集めました。しかし視聴率では、日本テレビの『水曜ドラマ』に2勝8敗であり、現在7連敗中。この時間帯の視聴者は1991年から24年に渡って放送され続けている日本テレビの『水曜ドラマ』のほうに視聴習慣があり、それを覆すことができていないのです。

さらに気掛かりなのは、「来年3月でフジテレビが再び水曜22時のドラマをバラエティに変える」というニュース。これが本当なら、言わば撤退であり、「すでに多くのファンを持っていた日本テレビの『水曜ドラマ』への挑戦そのものが失敗だった」という結論になってしまいます。

これをドラマファンの心理から見ると、「何でわざわざ同じ時間帯にドラマをぶつけるの? ほかの時間帯なら両方見られるのに」という疑問や不安が心に残ります。それが長年信頼のある「日本テレビの『水曜ドラマ』を最優先させよう」という気持ちにつながっているのではないでしょうか。一方、テレビ局の心理は、「水曜22時はドラマを見る視聴者が多いのだから、リスクはあっても勝負すべき」というもの。決して視聴者の便宜を図っているわけではないのです。

アラフォー女性の潜在願望とは?

最後は、木曜22時の『オトナ女子』。「まさかの1ケタ視聴率!」という報道を受けた亀山社長の「(篠原)涼子ちゃんがあまりに美しすぎるので、もうちょっと痛くなってくれるといいな」というコメントが話題になるなど苦戦しています。さらに、「美しいものは痛めつけられるべきで、感情移入するためには、もっと切なく寒空に雨にぬれるくらいでないと。ハイヒール折れたぐらいじゃダメです」と話していましたが、本当にそれが低迷の原因なのでしょうか?

ここ数年『木曜ドラマ』で好評なのは、『ラスト♡シンデレラ』『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』『最後から二番目の恋』のような「ターゲットとなるアラフォー女性の潜在願望をかなえる」ファンタジー性の強い物語。『ラスト♡シンデレラ』は年下と同僚イケメンとの恋、『昼顔』は不倫という許されない恋、『最後から二番目の恋』は人生最後の脱力感ある恋を描いたものでした。それだけに、『オトナ女子』もアラフォー女性の潜在願望をかなえるような展開が求められていたのであって、決して痛めつけられることではない気がするのです。

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