「恋仲」なぜ最悪のスタートから持ち直せたか フジテレビが採った「ゆるさ」と「引き算」
「ひさびさの王道ラブストーリー」のふれこみで放送前から話題を集めた月9ドラマ『恋仲』(フジテレビ系)が9月14日の放送で最終回を迎えました。
初回こそ同枠初の1ケタ視聴率9.8%(関東地区)で、その行く末が不安視されましたが、最終回の視聴率は11.5%、終わってみれば平均10.8%を記録するなど、夏ドラマの中では上位3番手というまずまずの結果を収めました。
一方で、このドラマについて視聴者・識者ともに「絶賛」の声をあまり聞かないのもまた事実です。この夏は『HEAT』『リスクの神様』(いずれもフジテレビ系)など、初回の遅れを取り戻せず記録的低視聴率に悩まされる作品が多い中、なぜ『恋仲』は踏みとどまり、好結果につなげられたのでしょうか。
全編に漂う“ゆるさ”のイズム
「何だかゆるい作りのドラマだなあ」と思って見ていた人が多かったのではないでしょうか。「同級生の三角関係」という前時代的な設定に加えて、現代風の人物造形や社会背景もないのですから、ゆるさを感じるのも無理はありません。
福士蒼汰、本田翼、野村周平というキャスティングの理由も、演技うんぬんより“名前の持つ記号的な人気”によるものであることは明白。そんな人気者たちのやり取りも、ゆるい雰囲気を醸し出していました。ただ、彼らは求められた役割を全うしていましたし、視聴率をキープできたのも、その記号的な人気によるものが大きかったように感じます。
つまり、「設定もキャスティングも、週はじめの月曜夜にちょうどいいゆるさが心地よくフィットした」ということ。『恋仲』の視聴者は、リラックスした状態で、予定調和に近い三角関係や、郷愁のような胸キュンシーンを楽しんでいたのではないでしょうか。同じ月9のラブストーリーで、今年1~3月に放送された『デート~恋とはどんなものかしら~』(フジテレビ系)のような予測不能かつ現代的な作品とは真逆のスタンスと言えます。
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