バニラエアはピーチの「物まねLCC」じゃない 新社長が語る展望、台北-東南アジアも就航へ

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さらには台北から東南アジアへも路線を張る計画です。つまり成田→台北→東南アジアとなるのですが、これは台湾から第三国へ飛べる「以遠権」を行使します。どの国へ飛ぶかはまだ言えませんが、地点は決めていて年内の就航を目指しています。台湾人の中で特にバニラエアに慣れ親しんでいる旅行客をベースにしながら集客していきたい。

――国際線も好調で外国人の利用も増えていますが、海外の旅行客にはどのように航空券を売っていますか?

自社サイトに加えて、海外のOTA(オンライントラベルエージェント)で航空券を買えるようにしました。スカイスキャナー、エクスペディア、トラベルフュージョン、エボラブルアジアなどを通じてバニラエアを知ってもらうことも多いです。

――昨年4月にLCC専用としてオープンした成田空港の第3ターミナルを1年間使ってみての感触は?

第3ターミナルのオープン前は国内線・国際線でチェックインカウンターが分散していました。間違ってしまう乗客も多く、申し訳なかったと思っています。新ターミナルオープン後は、1カ所に集約できたことで乗り継ぎも含めて利便性も向上し、乗客が迷わなくなりました。それに加えて、空港会社の努力によって24時間のフードコートや夜中に来ても休むことができるなど施設の充実はありがたいです。

一方で、第3ターミナルのアクセスには課題があります。家族連れやご高齢の方が荷物を押して鉄道駅や駐車場のある第2ターミナルから第3ターミナルまで、約600メートルを歩くのはきついものがある。バスもあるのですが時間がかかるのが実情で、都心からの高速バスにおいても、LCCバス(東京駅から運行している東京シャトル、THEアクセス成田)の一部だけでも第3ターミナルに最初に停車するバスを運行して欲しいと要望しています。

加えて、JRと京成電鉄の鉄道駅である「空港第2ビル」駅は、ホーム手前に改札口を新設して通路を作ってもらえれば第3ターミナルまで近く、歩く距離が短くなると思っています。駐車場も含めてアクセスの工夫も今後空港会社には継続して検討してもらいたいです。

「強み」と「差別化」に磨きをかけるステージへ

――今後のバニラエアの展望を教えてください。

2020年度には25機体制を目指しています。現在は8機体制、4月には9機となります。基本的には機材の稼働を上げることで運航コストを下げて、安い運賃を乗客に提供するというビジネスモデルで、少しでもチャンスがある路線があれば就航していきたいと考えています。これからは中期経営計画に基づいてギアを入れていきます。競争を激しくなっているので「強み」と「差別化」に磨きをかけるステージがこれから始まると思います。

私が育ったANAは、今年で国際線30周年を迎えましたが、昔の国際線は黒字どころか赤字続きのお荷物だった時代が長かった。私もネットワークの部署では、しっかりハブ空港をベースにきっちりとネットワークを張っていくということを実践してきましたが、ANAの国際線がここまで大きくなれるとは思っていなかった。

信念を持ってチャレンジすることが大事だと私は思っており、そういうスピリットをバニラエアでもより強く発揮していきたいです。「決してピーチの後ろだけ追っかけている会社ではないぞ」という気持ちで頑張っていきたい。

鳥海 高太朗 航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

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とりうみ こうたろう / Kotaro Toriumi

1978年千葉県生まれ。成城大学経済学部経営学科卒。食品会社、コンサルタント、城西国際大学観光学部助手を経て現職。専門は航空会社のマーケティング戦略。利用者・専門家の双方の視点から各社メディアを通じて情報発信をしている。

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