バニラエアはピーチの「物まねLCC」じゃない 新社長が語る展望、台北-東南アジアも就航へ

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訪日旅行客が成田から札幌へ乗り継ぐ需要も増加傾向にあって、バニラエアの国際線からだけでなく、他のLCCで日本へ来てバニラエアの国内線へ乗り継ぐ外国人も目立ってきています。

日本人向けの営業としては少しでも運賃を安く利用したいニーズに応えられるように、プロモーションで安い運賃を出すようなときは、LINEやSNS、インターネットなどを通じてお客に届くような努力をしています。

――旧エアアジア・ジャパン時代の反省は生きていますか?

反省点としては分散化して苦戦した経験があります。拠点である成田空港での地位が確立できていない中で、セントレア(中部国際空港)からの路線にも進出しましたが、時期尚早でした。バニラエアはどちらかと言えば集中に徹し、成田空港の発着に集約しました。需要がある路線の便を増便して太くするという戦略です。

バニラエア効果という言葉が使われることも

――2014年7月にLCCでは初めてとなる奄美大島線を就航しました。1年半が経過しましたが現在の状況は?

奄美大島線に就航してよくわかったのはシーズナリティ(季節性)が強いことです。夏場は利用者が多い一方、冬場などの閑散期は需要が弱い。それをいかに平準化できるのかがポイントで、特に冬場は乗客が買いやすい運賃設定にしています。奄美大島には東京からの観光客も多く訪れるようになりました。バニラエアの就航による経済効果は年42億円ともいわれており、地元紙の報道や地元の議会などでは「バニラエア効果」という言葉が使われることがあるほどです。

現在、冬場の奄美大島線の搭乗率は70%台ですが、冬の期間でも最低でも80%を超えていきたいと思っています。夏場はすでに90%を超えていて、この夏は1日2便に増便します。

――LCCの運営には何%の搭乗率が必要?

航空券の単価によっても変わりますが、繁忙期と閑散期を併せた平均で85%は必要と考えています。

――成田―札幌線、成田―沖縄線、そして4月27日から就航する関空台北線はANAホールディングスが出資するピーチと競合します。

バニラエアはピーチの物まねをしているワケではなく、需要がどこにあるか、私たちの力を考えて路線を決めています。関空―台北線はピーチが飛んでいない深夜時間帯に飛ばすことになりますが、成田―台北線で成功している深夜便を関空でも展開していきたいということから就航を決めました。路線開設については、ANAホールディングスからの指示はなく経営としても自立・独立しています。ピーチの判断、バニラエアの判断でそれぞれ切磋琢磨して、それぞれ東西でベースとして強くなることが肝要です。

――今年は成田空港発着路線だけでなく、台北を拠点化した路線展開を表明しました。

どのように競争に勝ち残っていくのかという中で台北拠点化を考えました。現在、成田―台北線は1日4便、成田―高雄線も多い日では1日2便を飛ばし、特に成田―台北線については台湾のチャイナエアラインに次ぐ2番目の提供座席数になっています。1日4便の展開によって乗客への利便性が高まるとともに、競争力を増していると認識しています。

台湾からの旅行客からは、「東京だけでなく、大阪や福岡、札幌などにも行ってみたい」という声を聞きます。そこで機体運用における稼働を考慮して、成田から台北へ飛ばした便について、深夜時間帯を使って24時間空港の関西空港へさらに飛ばす便を運航することになりました。

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