決着つかず延長へ ヤクルト買収攻防戦 交渉は二転三転
「のめない条件をつけたダノンが合意を壊した」と、前出の関係者は主張する。「付帯条件を提示する前からダノン側は『怒らないで聞いて』と言ってきた。ヤクルトが怒ると認識していた。ダノンは交渉を壊したかったのではないか」。
ダノンからすれば、拒否権などを持たない28%では、現状と大差ない。自社の株主を納得させるためにも、付帯条件で何らかの成果を引き出そうとすることは当然のことだ。しかし、ヤクルトが態度を硬化させ、交渉は暗礁に乗り上げた。
6月下旬のヤクルト株主総会で根岸孝成社長が「(ダノンとの)友好関係の維持を目指し、話し合いで最善の結論になるよう努めたい」と発言している。だが、実際は、ダノンが付帯条件を提案して以降、両社同意の下、冷却期間となっていた。
このままでは11月15日に契約が消滅してしまう。そうするとダノンの行動に対し、ヤクルトは口を出す権利がなくなる。焦ったヤクルトは7月に、共同で研究開発可能な分野を示すなどの修正提案を送った。ダノンからヤクルトに連絡があったのは、9月半ばを過ぎた頃だった。
ダノンは、ヤクルト株式を36%まで買い増す権利を放棄する気はないが、10月にパリで会談を行いたいと返答してきた。ヤクルトの交渉担当役員が渡仏し、会談が持たれた。「お互いが納得できる結論は出なかったが、大きくもめることもなかった」と、ヤクルト関係者は言う。
このパリ会談をきっかけに、両社の交渉は再開された。冒頭に述べたように、合意には程遠いが、話し合いを継続する方向にある
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