ダイバーシティって何?(第4回/最終回)--ダイバーシティからインクルージョンへ
前回、従業員満足度を高めることが「日本型ダイバーシティ推進」とお話ししました。
では、その成功のカギは何でしょうか?
この分野で先行しているアメリカでは、数年前から「ダイバーシティからインクルージョンへ」と言われています。
それは、過去20~30年の間、「ダイバーシティ」推進のため、それぞれのマイノリティの数を確保するということに、焦点を当てすぎていたのではないかという反省からきています。
実際、女性やアフリカ系アメリカ人を多く採用しても、彼らが定着しないので、数値目標が達成できないというケースも多くあったようです。
そこで、「本当に必要なのは、多様な人材の採用ではなく、彼らを定着させる企業文化の醸成(=インクルージョン)だ」という認識が生まれてきました。
日本でも「女性活躍推進」の数値目標を掲げても、なかなか達成しない、または、育児支援の制度を完備しても能力のある女性がやめていく、というケースをよく耳にします。
経営トップが「女性活用」の旗を振り、法定以上の両立支援策を制定し、実行しているのにもかかわらず、なぜでしょう?
それを解くカギが「インクルージョン」です。
2008年にNPO法人GEWELが行った「ビジネスパーソンの働く意識調査」(→詳細はこちら)によると、ダイバーシティの意義に賛同し、実践意欲の高い人々は、「職場の満足度が高い人」です。
そして、その人たちの満足度が高い理由は「職場で上司や仲間たちから認められている」という自己認識にあるのではないかと考えられます。
「インクルージョン」という言葉を「受け入れられている」と訳すか、「認められている」とするかは、今後考えていく課題です。