人工知能「第3の波」、囲碁でも人間に勝った! 自ら学習し、課題の解決を可能にした新技術
自己学習するシステムとして最近多く見られるのが、ディープラーニングに強化学習の手法を適用したものである。DeepMindのチームは2015年2月に「deep Q-network(DQN)」についての論文を発表した。
DQNは「Breakout」や「Pong」(ブロック崩し)などの2次元ビデオゲームのルールを自ら学習し、1日程度で人間よりハイスコアを獲得するまでに成長する。DQNが実現したものは汎用的な自己学習の仕組みとまでは言えないが、ディープラーニングが汎用人工知能の実現に大きく寄与することを予感させる事例といえよう。
最近では、ディープラーニングを利用した強化学習の手法が、囲碁のアルゴリズムの改善やロボットや自律走行車の制御に活用され、研究レベルであるが大きな成果をあげている。強化学習では、人が事前に学習データを用意する必要がないため、シミュレーションなどによって短期間で高度な機能を学習することも可能である。こうした自己学習技術の進歩により、将来的には、多くの人手を必要とすることなく、より高品質な作業を実現するAIシステムが安価に利用できるようになるはずだ。
2020年を目標に自動運転の実用化を目指す
ディープラーニングを活用した技術の商用利用としては、まずは画像認識技術によって製造業における製品の品質管理、店舗における防犯や顧客の行動分析など、カメラ映像の利用拡大が予想される。やがて自然言語処理の知見を活用した音声認識や文字認識などの精度向上や画像認識技術の結果を文章で説明するといったアプリケーションの利用も広がるだろう。
また東京オリンピック/パラリンピックが開催される2020年を目標に、自動車メーカー各社は、高速道路における自動運転の実用化を目指している。自動運転の実現には、画像認識を中心とした人工知能の技術が不可欠であり、欧米ではグーグルのようなIT企業やテスラモーターズなどの新興の自動車メーカーが積極的に研究開発を進めている。日本でもトヨタ自動車が2016年1月に人工知能の研究開発を担う新会社の設立を発表、米シリコンバレーに本社を置き、5年間で10億ドル(約1200億円)を投資する予定である。
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