人工知能「第3の波」、囲碁でも人間に勝った! 自ら学習し、課題の解決を可能にした新技術

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ここでは、「ディープラーニング(深層学習)」に代表される先進的な機械学習手法の実用化によって、「汎用人工知能」の実現に向けて進化を始めた、第3期の人工知能ブームについて概観していく。人工知能は、どこまで人と同じように考え、学習することができるようになるのか。

機械学習技術の集大成 IBM「Watson」の商用化

機械学習とは、明示的にプログラミングをすることなく、コンピュータが経験(データ)によって知識やルールを獲得できるようなアルゴリズム/システムを実現する技術や手法である。

機械学習を利用したシステムの代表例がIBMのWatsonである。Watsonの機能は自然言語処理をベースにしている。人との対話やシステムに蓄積された専門知識、業務知識を利用して、仮説を生成したり、評価することにより人間の意思決定を支援する。IBMはこうしたシステムを「コグニティブ(認知)コンピューティング」と呼んでいる。

Watsonは、米国の人気クイズ番組「Jeopardy!」で、本や百科事典など2億ページ分のテキストデータ(70GB程度、約100万冊の書籍に相当)の知識をたずさえ、人間のクイズチャンピオンに勝利したことで、一躍有名になった。

これを契機として、IBMはWatsonの商用化に向け、さまざまな活動を続けており、2014年10月には、Watson事業を統括するWatson Groupの本部をニューヨーク市のシリコンアレー地区に開設するとともに、「Watson Client Experience Center」と呼ぶ支部を世界5カ所に開設している。

Watsonは、米国ではヘルスケアや医療分野から適用領域拡大を進めてきたが、日本国内ではメガバンクのコールセンター業務や保険会社の支払い業務支援への適用など、金融機関向けのプロジェクトを中心に推進してきた。

2016年にIBMとソフトバンクは、両社が開発を進めていた対話や音声認識など6種類のコグニティブ・サービスの日本語版の提供を開始するとともに、ソフトバンクの人型ロボット「Pepper」にWatsonを搭載することを発表した。両社は今後、小売におけるセルフサービス環境など幅広い分野でWatsonの利用が拡大することを期待している。

ディープラーニングによるブレイクスルー

機械学習にはさまざまな手法があるが、近年、特に注目を集めているのがディープラーニングである。最近では、グーグル、マイクロソフト、フェイスブックといった米国のIT企業がこぞってディープラーニングの研究に取り組んでいる。

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