ドコモは「攻殻機動隊の未来」を実現できるか ベンチャー投資のキーマンが語った

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ドコモ・ベンチャーズの秋元副社長はグループでも異色の経歴を持つ人物だ
大企業がベンチャーに投資するCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)として350億円と大きな規模のファンドを運営するのが、NTTドコモの100%子会社であるNTTドコモ・ベンチャーズだ。
同社を率いる秋元信行副社長は、NTTグループの中でも異色の経歴を持つ。NTTでは新規事業立ち上げに携わり、1999年にドコモに出向。シリコンバレーに常駐し米国研究所を立ち上げた。2005年にシリコンバレーでCVCを設立し初代CEOに就任。その後はサンディエゴで買収企業のボードメンバーなどを歴任した。2008年にスタートしたNTTインベストメント・パートナーズ(NTT傘下)がNTTドコモ傘下のCVCに衣替えしたのを機に、2013年5月から現職を務めている。
350億円の運用資金の内訳はNTT傘下の時代が150億円、ドコモ傘下になってからは250億円。通信系CVCとしてはKDDIより後発で、草創期に教えを乞うたこともある。過去の投資先にはイードやgumi、SHIFTなどIPOを果たしたベンチャーも存在するが、通信事業とのシナジー発現は今後の課題で、グループの新規事業発見への貢献など、課された責任は小さくない。投資方針やNTTグループ各社との関係性、今後の展望などを秋元副社長に聞いた。

 

――NTTグループの中でも、変わった経歴の持ち主です。

ドコモに来てからは、もっぱらシリコンバレーでベンチャー企業との協業などを15年くらいやってきましたが、こういう経歴の方はいないでしょう。ほかに使い道がなかったからだと思うんですけれども(笑)。

NTT時代はもっぱらアジアでした。ドコモに移った時に、今後のR&Dを考えるとシリコンバレーを押さえないわけにはいかない、海外拠点のオペレーションに明るい人間が必要ということで、白羽の矢が立ちました。

警備ロボットが五輪に登場?

――警備用ロボットを手掛けるロボットベンチャーに出資しています。秋元さんは以前、「2020年の東京オリンピックでロボットが警備で活躍する姿をお見せしたい」とも発言していました。

東京オリンピックはシンボリックなイベントだし、日本政府としても先進的な日本の状況を発信したいという思いもある。色々なところでロボット型の警備員がうろうろしているのが理想的なんだろうなと、そんなことが実現できないだろうかと思っています。

――NTTグループの企業や部署と重複することはありませんか。

今のところありませんが、ひょっとするとNTTグループ内のアクティビティが追い付いてくる可能性はあります。その時には出資先のベンチャーと組んでもらえればいいと思っています。

――投資先はどのように開拓しているのでしょうか。

投資方針の一つは「エコシステム投資」と呼んでいるポリシーです。まず、事業会社などからニーズを聞き、サービスや技術を実現する上で、自分の会社に存在しないピースを自社開発するか、それとも外から持ってくるかと考えます。

「探してきてくれ」ということであれば、ニーズに合致する会社を探しに行く。「君らの技術をここに組み込んで、こういう形で売っていきたいのだけれど、うちと組まないか?」というセールストークが成立します。

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