KDDIの「スマホ構想」は、ヤフーに勝てるのか スマホポータル争奪戦に、通信会社が挑む
パソコン時代、ユーザーがネットサービスを利用する際のポータル(入り口)はヤフーが最右翼だった。スマホ時代のポータルを勝ち取るのは、どんな形のサービスか、そして、どの企業か。近年、多くのネット企業への出資・買収を進めるKDDIは、インフラを担当する通信会社でありながら、この課題に名乗りを上げようとしている。
同社は昨年10月、独自のスマホポータル構想「シンドット」(KDDI子会社のシンドットホールディングスが運営)を発表した。この構想に、ユーザーの入り口となるサービスはない。アライアンスに参加する各サービスが共通のサイドメニューを構築し、相互に送客し合う仕組みだ。ユーザーはほかのアプリを立ち上げることなく、さまざまなサービスの間を自由に行き来できる。
通信会社の中に誕生した、ネット企業
「バカになれ!」――。
壁一面に広がるアイデアや落書きの数々。テントが張られ、まるでキャンプ場のような打ち合わせスペース。青山にあるシンドットHDのオフィスは、複数のネットベンチャーも入居するなど、「KDDI色」がまったく感じられない。それもそのはず、シンドット構想に加盟するのは、先鋭的なネット企業だ。グルメサイトの「食べログ」やカレンダー手帳アプリの「ジョルテ」、ナビサービスの「ナビタイム」、コスメサイトの「@コスメ」など14社、20サービスが加盟している。
各サービスの相互送客によってそれぞれの訪問者数は増加し、月間の利用者数は合計で1億人超に成長した(発足当初は4000万人)。また、他社サービスと異なる独自のユーザーデータも獲得できた。サービス間でユーザーを送客する仕組みのため、どんな層のユーザーがどのサービスを入り口として利用し、次にどのサービスに飛んだのか。実際のユーザーの行動や回遊パターンが浮き彫りになったのだ。
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