KDDIの「スマホ構想」は、ヤフーに勝てるのか スマホポータル争奪戦に、通信会社が挑む

拡大
縮小

たとえば、ビジネスパーソンの場合、カレンダーでスケジュールを確認し、その後天気をチェック。交通情報を調べたり、ニュースを読んだり、女性は占いを楽しむ、といった一連の流れが見られた。そのほか、若年層はゲーム情報に続いてまとめサイト、ランキングアプリ(現在は終了)を見るといった具合だ。

画像を拡大
アライアンスに参加するサービスのサイドメニューには、各サービスへの導線が埋め込まれている

こうしたデータをもとに、カレンダーとナビサービスの連携などにも取り組んできた。複数のサービス間でユーザーのデータをとり、活用する取り組みは、世界的にも珍しいという。

サービスやデータの連携を加速するため、シンドットは今年11月に大幅な体制変更を実施した。シンドット構想にかかわってきた、広告事業の「スケールアウト」とメディア、サービス事業の「ナナピ」、技術面を担当する「ビットセラー」のKDDIグループ3社が合併し、シンドットHD傘下の中核会社「スーパーシップ」としてスタートしたのだ。3社はシンドットのオフィスに入居しており、合併は既定路線だった。

データベースを軸に集客も強化

「1億人を超える規模に広がったユーザーとの接点と、アライアンス内のユーザーデータ、さらに、広告を含めた送客のプラットフォームを連携させることで、マネタイズを進めていく」。シンドット構想を当初から先導してきた、スーパーシップ代表の森岡康一氏は語る。

中でも、本丸と言える取り組みはDMPの強化だ。DMPは「データマネージメントプラットフォーム」の略で、さまざまなビッグデータを管理し、広告配信などに活用する仕組みのこと。アライアンスの参加サービスとつながるDMPの規模を拡大し、さらに、KDDIや旧スケールアウトのデータも合わせることで「質、量ともに日本一のDMPを目指す」(森岡氏)。

同時に、集客力にも磨きをかける。肝になるのは、ナナピが提供するコミュニケーションアプリの「アンサー」。ニュースやゲーム、悩み相談、ひまつぶしなど、さまざまな話題に対し、多数のユーザーがチャット画面で次々と回答していく。さながら、LINEの大人数のグループでトークをしている感覚だ。

ここでは、ユーザーの投稿内容に合った情報を自動で回答するなどで、各サービスへユーザーを送客することを考えている。現在はテストを実行中だ。たとえば「今日の東京の天気は悪そうだな」といった投稿に天気予報を投稿したり、「最近ついてないな」という投稿に占い結果を送信するといったものだ。

次ページシンドット構想は儲かるのか?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT