KDDIの「スマホ構想」は、ヤフーに勝てるのか スマホポータル争奪戦に、通信会社が挑む
広告も拡大路線を歩む。これまでシンドットの広告は、アライアンスに加盟する各サービスのサイドメニューにある広告枠のみだった。だが、動画広告を手掛けるアップベイダー社やeコマース広告のソケット社の買収(それぞれ9月末にシンドットHDが買収)によってメニューは広がった。両社は旧スケールアウトとのシナジー発現も進める構えだ。
足元でさまざまな取り組みを進めるシンドット。ただし、マネタイズは難しい課題となる。何しろ、シンドットに携わるほとんどの会社が儲かっておらず、最終赤字を計上しているからだ。直近決算期の業績を確認すると、旧スケールアウトは2億1180万円の黒字だが、シンドットHDは6018万円、旧ビットセラーは5322万円、旧ナナピは1287万円と、それぞれ最終赤字だ。
すでに進行中の広告事業の強化はもちろんだが、個人向けサービスや法人向けのデータソリューションなど、多様な収益獲得手段を確立する必要がある。
ベンチャー気質は残されているか?
KDDIで新規事業を統括する高橋誠専務はこう語る。「au以外のユーザーにもタッチしていかなければ、回線を提供するだけの『土管屋』になってしまうという危機感がある。ただ、ネット分野の取り組みは通信会社の発想ではできない。ベンチャーへの出資や買収などで人材を確保し、KDDIの経営資源を活用してイノベーションを作り出す」。
高橋専務は11月にシンドットHDの代表に就任している。「KDDIが中途半端ではなく、本気で取り組む姿勢を示したものだ」(高橋専務)。
森岡氏もこう息巻く。「ネット企業を中心に、有力な人材も集まり始めている。スマホの梁山泊のような感じだ。シンドットは世の中に対するインパクトでヤフーを超えたい。日本のインターネットの歴史において、ヤフーを抜いた会社はまだないが、スマホが出てきたのはチャンスだと思っている」。
パソコン時代と事情は異なるが、スマホにおいても、多様なサービスを展開するヤフーの存在感は大きい。シンドット構想がスマホのポータルを席巻し、ヤフーを超える日は来るのだろうか。今や売上高、利益ともにNTTドコモを超え、押しも押されぬ大企業となったKDDI。シンドット構想は、途方もなく高い目標に挑む、同社の「ベンチャー気質」が試される取り組みになる。
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