ドコモは「攻殻機動隊の未来」を実現できるか ベンチャー投資のキーマンが語った

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――ホームページに「『攻殻機動隊の世界を形にするスタートアップ』集まれ!」とあります。近未来アニメ映画「攻殻機動隊」の世界観(感情を持ったロボットや自動運転など)を実現するような技術を持ったベンチャーを募集しているのですか?

最近は、2030年ビジョンなどと超長期の青写真を示す企業が増えていますが、すでに示されている一つの未来像が「攻殻機動隊」の世界ではないでしょうか。

実際に、時代が攻殻機動隊の世界に追いついてきている部分も多々あります。攻殻機動隊をシンボリックな位置づけにして、実現できそうなものを抽出し、ベンチャーを応援する取り組みがあってもいいんじゃないかということです。そこで(外部が運営している)「攻殻機動隊リアライズプロジェクト」に賛同させていただいています。

「攻殻機動隊の未来」を作れ!

――すでに追いついている部分というのは?

たとえばウエアラブル端末。これが進化すれば「攻殻機動隊」の世界に追いつけるでしょう。少し前ですが、米国で電子タトゥーが特許化されました。コンタクトレンズを電子化するとか、そんなこともできている。米国の某大学では、頭に電極を刺して、脳の信号で肢体不自由な人がロボットアームを動かす実験に成功しました。3Dプリンターを使って安価に義手を作るベンチャーも出てきています。

――「攻殻機動隊」の世界の中に隠されているヒントというのは?

ウエアラブルよりも「インプランタブル」(体内に埋め込む形)が実現しないかな、と個人的には思っています。眼鏡のように体の外につけるのではなく、コンタクトレンズ化されたディスプレイであったり、カメラであったり、そういうものだったら使えるのではないかと思います。

また、ヘルスケアのデバイスとしてバンド型がありますが、継続して着用するのは難しい。タトゥーみたいなものが実用化されると、健康増進のみならず、医療系にも応用が効くので、わくわくしますね。自律走行型の警備ロボットも攻殻機動隊に登場しています。自動運転も普通に出てきていますね。

2016年にはスイスで「サイバースロン」という催しが予定されています。義手義足の方のマラソン大会です。超人オリンピック的な催しで、脳波でゲームをコントロールする競技も予定されているそうです。

今はオリンピック・パラリンピックという言い方ですが、義手や義足の技術革新で、パラリンピックの記録がオリンピックの記録を普通に上回る時代が来ると思います。そういう未来が実現する可能性があるのではないかということで、攻殻機動隊プロジェクトに賛同しています。

                         (撮影:今井康一)

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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