テスラ「モデルS」の進化が映す自動車の未来

業界の空気を読まない姿勢が現状を打破する

アクセルやブレーキのレスポンスの良さがEVの魅力だ

「IT社長の一人」から自動車業界を賑わす存在へ

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10年ひと昔というが、ビジネスの世界では10年どころか、わずか1年でも“昔”になってしまうことがある。たとえば、テスラ・モーターズCEOのイーロン・マスクは、少し前まで「IT社長の一人」くらいの位置づけだった。ここまで自動車業界を賑わせるとは想像していなかったのではないか。

2000年代中盤、日本ではEV(電気自動車)ブームが起こっていた。原子力発電による余剰電力の活用先として自動車に着目した東京電力がハイブリッド車(HV)を持たないスバル(富士重工業)と三菱自動車を口説き、そこに日産自動車も乗っかったのが背景だ。自民党から民主党に政権が変わり、与党となった民主党は力強くEVを後押しする。環境政策強化の文脈において、走行中に排ガスを出さないEVは有力なコンテンツだった。

ちょうどそのころに「米国ではPC用バッテリーを使ったEVが出たらしい」という情報が出回る。それがテスラ「ロードスター」だ。当時はオリジナルの車体がなく、英国ロータス社のスポーツカーをベースにしていた。バッテリーはどのメーカーが開発したのか憶測も飛んだが、2009年にパナソニックとの正式な提携が発表される。その後も着実にテスラはビジネスを進めた。アップルやグーグルの動きも、テスラにとっては追い風だっただろう。IT系の新興企業が自動車産業に及ぼす影響が議論されるようになり、ついには自動車史にひとつの足跡を残すに至る。

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