9月19日、ブレイブ・ブロッサムこと、ラグビー日本代表が強豪の南アフリカ代表から歴史的な勝利を収めた。スポーツの世界の出来事ではあるが、世界と伍して闘う姿は何とも頼もしい。
自動車の世界では、日本はドイツとよきライバル関係にある。ただし、自動運転においてはドイツが技術面でリードしていることは周知の事実だ。また、グーグルやアップルといった米国のIT企業も自動運転に積極姿勢を見せる。日本勢はこの領域で覇権を握ることができるだろうか。
今回から始まる新連載は、自動運転の実用化に向けた“ニッポンの挑戦”をテーマに、国内外の最前線の情報をリポートしたい。
テクノロジーよりも高い障壁
自動運転とは、「認知・判断・操作」というドライバーが行っている運転機能を機械に任せるというもの。そのシステムを実現するには、100年以上も続いた自動車産業の積み上げ技術だけでは成り立たない。コンピュータや各種センサーなど新しい技術が必要となる。
認知はセンサー、判断はコンピュータ、操作はアクセルやブレーキなどの自動化だ。このうち認知と判断はITや軍事技術が応用できる。AI(人工知能)やロボットの実用化と車の自動運転がほぼ同時に進行している状況なのだ。それゆえに、さまざまな企業や研究機関が熱心に取り組んでいる。
自動運転を実現するために日米欧の主要自動車メーカーをはじめ、政府などの関係機関は本気だ。最近の主要自動車メーカーのPRや関係者の発言を見ていると、数年後には自動運転が実用化しそうに思えてくる。しかし、現実の技術や車社会を考えると、人の代わりにコンピュータが運転をするのはそう簡単なことではない。社会の受け入れ体制や法律の整備など、技術だけでは乗り越えられないさまざまな壁がそびえ立っている。
そもそも、自動運転とはどのようなシステムなのか、まずはその定義から考えてみることにしよう。
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