ここでは米政府の国家道路交通安全局(NHTSA)が定義した内容を記載する。一応この定義が先進国の共通認識だ。
レベル1:自動ブレーキやクルーズコントロールのように部分的にコンピュータが介在する状態
レベル2:操舵(ハンドル機能)が複合的に加わった状態
レベル3:半自動運転。条件次第ではドライバーは監視義務から開放可
レベル4:完全自動運転
さらに、米国の自動技術学会(SAE)では無人車の可能性を指摘し、この状態の完全自動運転をレベル5と定義している。
現在はレベル2が始まったばかりだが、初歩的なものから高度なものまで幅が広い。というのは、一口に操舵システムと言っても、車線を逸脱したときのみに作動するタイプや、車線変更を行えるタイプなど、いろいろなシステムが存在するからだ。
ドイツでは連続で車線変更をできる自動操舵システムまで考えられている。日欧の政府関係者は、国連の下部組織である国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で議論している。ちなみに日本は、WP29の自動運転WG(ワーキンググループ)ではイギリスと、自動操舵WGではドイツと、それぞれ共同で議長国を務めている。日本政府はルールメイキングの段階から積極的に参加しているのだ。
レベル2については高度化まで完全に視野に入っているが、問題はレベル3のハードルが非常に高いことだ。ドライバーが運転義務から開放される半自動運転は、ドライバーの権利と義務を規定した1949年制定のジュネーブ条約(国際条約)に違反してしまう。この条約では「ドライバーは運転に責任を持つこと」と規定されており、法律の専門家たちは新しい解釈を許すか、あるいは条約を改訂するか、熱い議論を交わしている。法律の問題は技術開発以上に難しい。
IT企業が車の未来を切り拓く?
現実を見てみよう。交通事故の90%以上がドライバーのミスといわれる。そんなに多くのミスを犯す乗り物は、そもそも走る道具として未完成なのだ。日本では交通事故の死者数は減少したとはいえ、まだ年間で約4100名の方が命を失っている。米国ではもっと多くの命が交通事故で失われている。こうした事実をグーグルはどう考えているのだろうか。
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