元ニッセイ職員は、なぜ「保険を捨てた」のか 「家族を守る=生命保険」はあまりに盲目的だ

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商品選びに関しても、「大手だし」「利回りがよさそうだし」と、比較的簡単に決めている人がいます。中には保険営業マンの人柄や熱意といった保障内容と関係ない部分で選んでいる人もいます。

私は日本生命に勤めていたころから、この点に違和感を持っていました。具体的にいうと、年齢や家族構成の面で「オトナになったら保険に入る」という流れや、「保険に入るのがオトナ」という考え方が、本当に正しいのだろうかと感じていました。

ですから、保険会社の社員としては珍しく、独身のころは自社の生命保険にひとつも入っていませんでした。なぜならば年代や家族構成によっては、生命保険よりも効率よくリスク対策する方法があるはずと思っていたからです。

怪しい不動産営業マンが、リスク管理のヒントをくれた

自社の保険に入らずに過ごしていると、周りから(特に上司から)「なぜ入らないのか(とにかく入りなさい!)」とよく聞かれ(怒られて)ました。

私の答えはいつも同じでした。「必要性がないから」です。

当時の私は独身でしたので、仮に死んだとしても、悲しんでくれる人はいますが、経済的に困る人はいません。葬式代くらいであれば、多少の預金と会社の弔慰金で十分に間に合います。

父親になった今でこそ、本当に必要だと考える三大疾病等に備える生命保険に加入していますが、自分が何歳であれ、必要性がなければ保険は不要です。

ただし人生のリスクは死だけではありません。病気やケガをすれば家計が傾く可能性がありますし、老後の生活費も準備していく必要があります。
その手段として保険よりもよいものはないのだろうかと考えていた時に、ヒントを持ってきてくれたのが不動産の営業マンでした。

当時の職場には「資産運用に興味ありませんか?」「今こそ不動産がサイコーです」といった怪しい電話がよくかかってきていました。また、駅などで突然「名刺交換をさせてください」と声をかけられることも多々ありましたし、同僚のひとりから不動産の営業マンを紹介したいと頼まれ、怪しさ満点だと思いつつも付き合いで話を聞きに行くこともありました。

その営業マンから不動産を購入することはありませんでしたが、それらの経験は貴重でした。というのも、保険が担っている役割の一部を、不動産でカバーできると気づくことができたからです。

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