イギリスのEU離脱は、「名誉なき孤立」を招く

英語圏は、もはや盟主など求めてはいない

英語圏に関する幻想も、英国のEU離脱論の一因のようだ (写真: ロイター/Toby Melville)

原文はこちら

英国が欧州連合(EU)離脱の是非をめぐって揺れている。賛成派の根拠の一つとなっているのが、英国が「アングロスフィア」と言われるコミュニティのリーダーとして、新時代の役割を担うだろうとの考え方である。

アングロスフィアとは、同様の文化や価値観を持った英語圏諸国のこと。具体的には米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどが含まれる。これらの国々は価値観だけでなく、歴史や法律、民主主義制度といった社会基盤も共有しており、その結束が世界平和に貢献できると一部で考えられているのだ。

彼らの主張は、英国が率先してこのコミュニティの中心に位置すれば、硬直化して分裂の兆しさえあるEUにとどまるよりも価値がある、というものだ。しかし、旧植民地の住民である私の偏見なのかもしれないが、それは幻想にすぎないように見える。

関心持ちそうな国は皆無

アングロスフィアの根本的な問題は、地政学的、経済的、あるいは政治的な点で、このコミュニティに興味を持って参加しそうな国がほとんど見当たらないことだ。

今世界で地政学的に重要なことの一つは、米国と中国との覇権争いだ。米国は中国を牽制するためにも同盟国を欲しており、豪州やニュージーランドといった英語圏の国々はその候補ではある。しかし米国にとってより重要なのは、日本や韓国、さらにインドネシア、タイといった東南アジアの国々である。オバマ大統領が2月、カリフォルニアで米ASEANサミットを開催したのは、その好例だ。

もちろん米国にとって、北大西洋条約機構(NATO)メンバーである英国やカナダとの関係は重要だ。しかし、豪州やニュージーランドとなれば話は別である。

次ページ存在意義はアパルトヘイト廃止まで
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 令和の新教養
  • 子どもを本当に幸せにする「親の力」
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
好業績の裏で検査不正<br>スズキ「鈴木修経営」の光と影

5月10日の決算会見に登壇し完成検査の不正を詫びたスズキの鈴木修会長。不正は組織的・構造的な問題か、現場への目配り不足によるのか。長年にわたるカリスマ経営の副作用を指摘せざるをえない同社のガバナンス体制を詳解する。