株式会社インスパイア代表取締役・高槻亮輔(Part4・最終回)--“事業開発”を事業とする事業会社として発展させたい

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株式会社インスパイア代表取締役・高槻亮輔(Part4・最終回)--“事業開発”を事業とする事業会社として発展させたい

■CEOへの道は、職業としての”社長”を選び、第一線で活躍するプロによるトークセッション。将来、経営層を目指すオーディエンスに、自らの経験とノウハウを語る。

--経営者は企業理念をどこまで強く意識すべきだと思いますか。

説明がたくさんいるようなものはいらないと思います。組織全体に筋が通るような言葉があればいい。

インスパイアだったら「楽しむ」の一言。人生1回きり、自分が楽しめていなければいい仕事はできません。もちろん嫌なこともありますが、新しい価値を生むことが使命なので、周囲を巻き込んでいかなければなりません。辛気くさい顔で行ったら誰もついてこないし、始まりませんからね。

投資先を選ぶ際にも数字を並べるよりは、事業開発のイメージが描け、それが楽しめるものかどうかを大事にしています。成毛や私が楽しめと言ってるわけではないのですが、当社の社員は子供のように純粋に楽しむ感覚を共有しているように思います。

--社員として一緒にやっていける人は、やはり楽しめる人ということでしょうか。

ここ数年の新卒採用では、コミュニケーション豊かな明るい“オタク”を集めました。ただ、今は同じタイプの人間を必要とはしていません。色鉛筆でいうと24色くらいでいいのではないかと思っています。

白と黒は私や成毛の役割。なにかチームが発足したとき、赤には赤を付けるといったように、同じ色を入れる必要が出てきたとき初めて組織は大きくなるだろうと思っています。反対色をあえて混ぜてみたりもできますからね。

--24色はもう集まりましたか。足りない色があれば具体的にお聞かせください。

20色くらいは集まりました。あとの4色は、ものすごく数字に強い人、古典を含めやたら言語に強い人、図形的な発想ができる設計士タイプの人、何でも売りますという営業の天才ですね。

--共通言語がないような24色を束ねるのは大変ですよね。どこで多様な対応を身に付けられたのでしょうか。

興銀時代の経験でしょうか。入社当初の仙台支店は、宮城県以北の東北全県を担当する店舗でした。最初に赴任した日に支店長から「『奥羽越列藩同盟』(中公新書)を読まないと東北では生きていけない」と言われたのですが、仕事をしてみるとおっしゃるとおりだと感じましたね。

その本は江戸から明治維新にかけての話なのですが、描かれている歴史や人の思いが、実際に今でも東北に根強く残っているんですよ。たとえば青森県では、弘前エリアは津軽藩、八戸エリアは南部藩と、全然歴史や文化が違うのですが、いまだにその違いが影響しているんです。福島県の会津でも強く感じましたね。東北といってもひとくくりにできない土地柄で学んだ人付き合いや、行内格付けプロジェクトの際に年上の人たちをマネジメントした経験が、24色を束ねるベースになっているのかもしれません。別の言葉で言えば、猛獣使いですかね(笑)。

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