■CEOへの道は、職業としての”社長”を選び、第一線で活躍するプロによるトークセッション。将来、経営層を目指すオーディエンスに、自らの経験とノウハウを語る。
--現在、社長に就任されておよそ1年ですが、なぜ社長に選ばれたのだと思いますか。成毛さんは高槻さんのどこを評価しているのでしょうか。
聞いたことはないですね。社長に選んだのも極めていい加減な理由なのではないでしょうか(笑)。少なくとも成毛は、インスパイアを立ち上げたときから7~8年で誰かにバトンタッチすると公言しており、それを実行したにすぎないのだと思います。
強いて言うならば、どうやったらお金儲けになるかという部分を手掛けていたからかもしれません。最初は平社員で入社しましたが、のちに取締役や副社長になって部門の収益責任者や全体のオペレーションも担っていましたので、成毛の中で「執行も任せられるな」という思いもあったのだろうとは思います。
--高槻さんは、今後ずっと今の会社にいらっしゃるおつもりなのでしょうか。
20年はありえませんね。10年はあるかもしれませんが、長くはやれないと思っています。当社はつねに新しい価値を追求していますし、テクノロジーがベースにあるので、感性が若くないとやっていけません。どんなに仕事ができる人でも、50歳を超えるとどうもキレ味が悪くなり、新たなテクノロジーに対する受容度が目に見えて下がります。同じように自分も子供心に楽しむという感覚が低下するでしょうから、最長で49歳になるまでに次へ譲らなければと思っています。
--仮にあと10年やって成果を上げた状況で辞めた場合、次は何をされる予定ですか。
50歳前であればまだ体力はありますが、代表者や取締役ですと法的にも責任があるので、まじめに関与するならばせいぜい4~5社でしょうか。過去に十数社の取締役を兼任したことがあるのですが、殺人的な状況になっていました。5社が限度でしょう。
ただ、アドバイザーや顧問なら10社はできますね。仮に1社につき月20万円、年間240万円分とすると、その分の価値を出すのは簡単なことです。就任した1日目でもできますね。10社やって年間2400万円、そのうち株を持つことになれば、中にはすごく成長する会社もあるかもしれませんし、たまにキャピタルゲインも入ってきます。そういう生き方はキャリアも生きますし、無理なく引き続き楽しめそうですね。