プロゴルファーにとって「五輪」の価値とは?

活躍してゴルフを普及させるのも大切なこと

そうした言動、行動が「アマではなく、プロだから」ということからきているのだとしたら、方便のような気がする。五輪ではテニスの前例がある。1988年ソウル大会でテニスがプロ解禁とした。そのときも「プロ意識」という言葉で議論が起こったことを記憶している。単純にいうと、五輪は優勝しても金メダルしかもらえないからだ。プロはプレーに対して金がついてくる。見合うだけのプレーをする責任もある。

有言実行で金を獲得したテニスのグラフ選手

世界ランク上位が尻込みする中、当時の女王グラフが「いちばん欲しいのは五輪の金メダル」と積極的な姿勢を見せ、金メダルを取った。そのシーズンで4大大会を制する「年間グランドスラム」を達成し、五輪を加え「ゴールデンスラム」と呼ぶようになった。グラフにとって五輪は単に新しい目標だったのかもしれないが、出場を渋っていた選手たちも徐々に五輪に重きを置くようになり、五輪競技として定着している。

プロゴルファーにとってはメジャー大会が目標なのは間違いない。優勝賞金も2億円ぐらいはある。そこに「4年に1回の五輪が入ってきても」と思うのは、五輪経験のある選手は1人もいないのだから当然かもしれない。当時のテニスと似た感じだ。日本代表ヘッドコーチについた丸山茂樹はアマ時代、ゴルフ競技があるアジア大会で日の丸を背負った経験を「何ごとにも代えがたい」という。お金には代えられないということだ。

「壁」は確かにある。リオ五輪のゴルフ会場を視察してきたJGAの山中博史専務理事は、課題は「たくさんある」という。ゴルフ規則は同じだが、五輪としてのルールがアマチュア対象であること(ウエアなどにスポンサー企業ロゴを入れられないなど)や、日本選手団としての宿舎や移動などの規定もある。五輪13週前からは居所を明らかにしなければならず、ドーピング検査もある。やったことがないから「面倒」と思うだろう。

JOCのメダル報奨金は金300万円、銀200万円、銅100万円。「日本ツアーだと優勝賞金の平均が男子2000万円、女子1300万円ぐらい。韓国のように兵役免除などできないわけですし、ゴルフ競技団体独自の報奨金も考えている」と山中専務理事はいう。金メダルを取れば複数年のツアー出場資格を与えるということも男女ツアーでは検討している。

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