プロゴルファーにとって「五輪」の価値とは? 活躍してゴルフを普及させるのも大切なこと

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ただ、見返りがあれば出場するというのは「プロ意識」だとは思わない。個人の考え方に過ぎないだろう。グラフが思ったように、丸山が経験したように、たぶん五輪には「お金に代えられない」ものがあるのだろう。はっきりしているのは、子供たちに影響を与えられること。五輪で金メダルを取るとスイミングスクールがいっぱいになり、体操教室が大盛況、といった話が必ず出てくる。

ツアーとは比べものにならない露出量

日本人は、五輪好きが多い。ゴルフツアーの視聴率は5%そこそこだが、五輪となるとゴルフを知らない人も見る。まして金メダルとなると、露出は比べ物にならない。ゴルフを普及させるのがプロの仕事のひとつなら、口で言うより金メダルを取る方が効果は高い。テニスのように五輪に定着できるかは、リオ、東京の試合のできにかかっている。

スコットが指摘するように、五輪はゴルファーとして最高レベルの大会ではない。1カ国最大4人の出場制限があるため、男子は世界ランク300位台、女子は400位台の選手も出てきそうだ。「そのレベルで勝っても」と、もし思うなら、出て勝って見せた方がすっきりする。グラフはそれをやった。

1984年冬季サラエボ、夏季ロサンゼルス大会から新聞社で五輪報道にかかわってきて、印象に残っているシーンがある。取材に行った1992年バルセロナ大会で、プロ解禁となったバスケットボールの米国「ドリームチーム」。大差で負けた対戦チームの選手が終了後は子供のように記念撮影を求め、金メダルの表彰台でマジック・ジョンソンが星条旗を体に巻いて狂喜した。大会後からNBAにはいろいろな国の選手が集まるようになったという。世界に普及させた形だ。商業化や肥大化などの批判のある五輪だが、選手にとってはそんな大会だと思う。

どこか冷めた選手も多いようだが、行ってから判断しても遅くはない。五輪に出られる世界ランクを目指せば成績を上げないといけない。プロにとっては最重要なことだ。ツアー初優勝直後から「目標は五輪金メダル」と言い、日本代表争いの位置まで上がって来た成田美寿々に「プロ」を感じるのは、筆者も五輪好きだからだろうか。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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