オバマ大統領の外交政策はリスクの高い賭け--イラクとアフガニスタンの両方で動きが取れなくなる可能性



 当初短期間で決すると思われた戦争が、7年目に入っている。米国が第2次世界大戦を戦った期間をはるかに上回る。地政学的な影響は非常に大きい。シーア派が多数を占める隣国イランは、この地域の支配的勢力になろうともくろみ、その目標達成のために核兵器を開発しているようだ。米国によるイラク侵攻は、総じてイランの力を強め、スンニ派が支配するサウジアラビアを不安に陥れ、この地域で核兵器開発競争の危険を高めている。

バラク・オバマ大統領は2つの戦争を引き継いだ。アフガニスタン戦争については、米国は焦点を絞り切れていない。イラク戦争については、米国民の大多数が、侵攻すべきでなかったという見方をしている。

2つの戦争の関連性:しかし米国は実際にイラクに侵攻したのであり、膨大な兵力と資金を投入している。03年に侵攻を開始して以来、イラクでは4000名を超える米兵が死亡した。10万人をはるかの超えるイラクの一般国民が死亡した。03年以降、米国はイラクに5000億ドルを超える資金をつぎ込んだ。そして、オバマ大統領は米国の関心を再びアフガニスタンに振り向けようとしているが、米国が単にイラクから撤退すれば済むというものでもない。イラクが混乱状態に陥れば、イランを利することになり、すでに体制の安定に不安を来しているサウジアラビアをさらに不安定化させかねない。

オバマ大統領は、米国のイラクへの関与を縮小し、軸足をアフガニスタンおよびその隣国パキスタンに移そうとしている。しかし、イラクとアフガニスタンの問題は不可分の関係にある。アフガニスタン問題の解決に必要な資源、つまり軍隊と資金は米軍に求めるしかなく、その米軍はイラクで過剰に展開しているからだ。そこで、以下の2つの問題が浮上する。つまり、イラク駐留米軍の削減は、どの程度の規模で、どれくらいの時間をかけて行えば、安全に実施可能なのか。また、アフガニスタンには、どの程度の規模の米軍が、どれくらいの期間にわたって駐留する必要があるのか。

外交問題評議会(Council on Foreign Relations)の軍事アナリスト、スティーブン・ビドゥル氏によると、オバマ政権は「リスクを伴わない選択肢はないというジレンマを抱えている」。つまり一方では、「アフガニスタンを迅速に復興させるためにイラクからの撤退が時期尚早にすぎれば、イラクが内戦に逆戻りする危険を冒すことになる」。その一方で、アフガニスタンを迅速に復興させることができなければ、「戦争が長引き、(米軍の)死者が増大する」。イラクには現在、14万人の米軍が駐留しているが、2010年7月までには3万5000人にまで削減し、11年末までには完全に撤退する予定だ。イラク駐留米軍のレイ・オディエルノ司令官は、米国は3万5000人以上の部隊を2015年までイラクに駐留させなければならないかもしれない、と示唆しているが、オバマ政権はこの見方を支持していない。

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