オバマ大統領の外交政策はリスクの高い賭け--イラクとアフガニスタンの両方で動きが取れなくなる可能性



 オディエルノ司令官は米軍の駐留に関して独自の見解を示唆しているが、この考え方に同調する多くのアナリストたちは、もっと一般的に、しかしオディエルノ司令官と同等に悩ましい表現で状況を語っている。米軍のイラク駐留は平和の維持に役立っている。米軍の存在がなければ、イラクではシーア派とスンニ派との間で宗派間暴力が激化しかねない。過去2年間にわたってイラクで比較的平穏が続いたのは、かつてサダム・フセイン政権の一員であった者も含めて、スンニ派民兵組織のうちの穏健派に、米国が膨大な資金を提供してきたことに負うところが大きい。しかし、多数派を構成するシーア派は、フセイン元大統領に忠実なスンニ派から抑圧され続けてきた長い歴史があり、国家の軍隊や地方の警察組織にスンニ派を取り込むことを警戒している。またシーア派は、シーア派の民兵組織のメンバーの中には中央政府や地方政府に忠実でない者もいる、という問題を抱えている。

このような観点からすると、11年までに米軍を完全に撤退させるという計画は、リスクを伴う大きな賭けだ。戦略国際問題研究所(CSIS)の軍事アナリスト、アンソニー・コーデスマン氏は最近、「イラクが(国内の平和を維持するために、シーア派とスンニ派との間で)安定した水準の政治的和解を達成することができるかどうかは、誰にもわからない」と語った。

焦点はアフガニスタンに:一方、アフガニスタンには現在、3万8000人の米軍が展開している。オバマ大統領は、まもなく1万7000人の戦闘部隊がアフガニスタンに到着し、続いて精鋭の第82空挺師団から4000人が到着する、と発表した。このうちの後者は主に、アフガニスタンの警察の訓練に当たることになっている。

4つの重要な政策検討:アフガニスタン駐留米軍の性質と規模については、ここ数カ月の間に4つの重要な政策検討が行われている。オバマ政権の国家安全保障会議(NSC)が行った検討もその一つだ。4つのすべてが、以下の3つの政策の選択肢を検討している。【1】テロ対策重視。これは、タリバンおよびアルカイダ勢力の抹殺を意味する。【2】「反政府活動鎮圧」重視。これは、イスラム教過激派を拒絶するようアフガニスタンの一般国民を説得するために、経済開発、市民の安全、統治能力のある政府を推進することを意味する。そして【3】は【1】と【2】の組み合わせだ。

NSCによる検討で大きな役割を果たしたのは、リチャード・ホルブルック・アフガニスタン・パキスタン担当大統領特使、ヒラリー・クリントン国務長官、ジョー・バイデン副大統領の3名だ。クリントン長官とホルブルック特使を一方の側に、バイデン副大統領を他方の側において、本質的な主張の隔たりがみられた。前者は、大規模な軍事・非軍事支援を動員する徹底した反政府活動鎮圧戦略を提唱し、後者は、タリバンをはじめとする過激派勢力を対象とするテロ対策に的を絞った軍事作戦を提唱した。

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