オバマ大統領の外交政策はリスクの高い賭け--イラクとアフガニスタンの両方で動きが取れなくなる可能性

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 それによると、米国は10~15年間にわたってアフガニスタンに関与しなければならないだろう、そして米軍を追加派遣するだけで年間250億ドルを要し、民間のアドバイザーや物資を含めるとさらに多額の資金を要するとのことだ。オバマ大統領は今のところ、これほどの関与を明言する気はないようだ。

その一方で、オバマ政権はパキスタン政府と協力し、パキスタン国内にいるイスラム教過激派の一掃を図っている。パキスタンは長年にわたり、アフガニスタンのイスラム教過激派を援助してきた。競争相手であるインドと親和的な、宗教色の薄い政権がアフガニスタンに成立するのを防ぐためだ。しかしその戦略は、パキスタンにとって多くの面で裏目に出ている。パキスタン国内の過激な「ジハーディスト」(聖戦実行者)グループが、パキスタン政府の安定性を脅かしているのだ。

最近、ロバート・ゲーツ国防長官が議会で証言した。その中で長官は、パキスタン軍はようやく国境地帯の過激派勢力に対する大規模な掃討作戦を始めた、と述べた。米国は、パキスタンの民間経済を支援するために、今後5年間、年15億ドル程度の予算を組んでいる。ところが、連邦議会では議員の多くが、蔓延する汚職のせいでこれら資金の有効性が減じるのではないか、と憂慮している。

パキスタンは、多くのアナリストが語っているほど不安定ではない。パキスタンは50万人もの国軍を擁している。国軍よりもずっと小規模で不人気なタリバンやそれに同調する勢力によってパキスタン国家の安定性が実際に脅かされているという状況にはない。しかし、アフガニスタン国内に存在するタリバン=アルカイダの脅威を一掃するためには、パキスタンがアフガニスタンとの国境地帯で真剣な掃討作戦を実行し、成功を収めることが必要だ。

米国は、予期していたよりもずっと長期にわたり、イラクとアフガニスタンで身動きが取れなくなるのではないか-オバマ大統領とその側近たちは、急速にこのように理解し始めている。オバマ大統領が最終的に米国大統領の成功例となるのか、それとも失敗例に終わるのかの判断は、オバマ政権がこの問題にどう対処するかによって決まることになるだろう。
(ピーター・エニス =ニューヨーク駐在・週刊東洋経済特約)

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