オバマ大統領の外交政策はリスクの高い賭け--イラクとアフガニスタンの両方で動きが取れなくなる可能性



 アフガニスタンに関する広い意味での目標については、関係者の意見はほぼ一致している。国際的なテロリストがアフガニスタンを拠点に活動し、2001年9月11日の同時多発テロのような攻撃を再び仕掛けることができないようにすることだ。そのためには、アフガニスタンの警察をはじめとする治安部隊を強化し、過激派組織の資金源となる麻薬取引を減らし、アフガニスタン政府の統治能力を向上させ、経済発展を促進する必要がある。議論の的となっているのはまさに、いかにしてこれらの目標を達成するか、という方法についてだ。

ロバート・ゲーツ国防長官とクリントン国務長官の見解は、反政府活動鎮圧に向けた大規模な取り組みを支持している、という点において明確に一致している。軍には、軍事力だけでは勝つことができないことがわかっている。最近、海兵隊のジム・コンウェイ総司令官が報道機関向けのブリーフィングで述べたところによると、海兵隊が、アフガニスタンでケシを栽培している人々を対象とする作戦を展開する可能性がある。アフガニスタンでのケシの栽培により、タリバンは違法な麻薬取引によって年間4億ドル以上の資金を得ている。総司令官によると、単にケシの栽培を根絶するだけでは、ケシ栽培によって生活の糧を得ている現地農民の怒りを買うことになる点が問題であり、タリバンを利することになってしまう。代替策として、農業専門家チームを投入して現地の農民との協力関係を構築し、ケシ以外の作物を栽培するよう促す構想がある。国務省は国防総省の支援を得て、民間の援助活動家の拡大に取り組んでいる。

戦略について、オバマ大統領は入り混じったメッセージを発している。白書の発表に際し、大統領は報道機関に向けて、米国は「非軍事的な取り組みを大幅に拡大」する必要がある、と述べた。アフガニスタンに「農業専門家、教育者、技術者、法律家」を派遣することを提唱した。しかしその一方で、米国の関与は「際限なき」ものではないと強調した。

オバマ大統領もバイデン副大統領と同様に、アフガニスタンでの大規模な反政府活動鎮圧戦略が必要とする膨大な部隊と資金を確約するには消極的なようだ。ワシントンでは、オバマ大統領は判断を下すのを回避し、バイデン派とホルブルック=クリントン派を「妥協させた」だけだ、とする怒りに満ちた心配そうな声も聞かれる。しかし大統領はおそらく、選択肢をオープンなままにしておこうとしているのだろう。つまり、治安面での進展を図りつつ、反政府活動鎮圧の取り組みの間口を広げる枠組みを作り出すことによって、日本も含めて、幅広い国際社会に支持と資金提供を求めようとしているのだ。

効果的な反政府活動鎮圧作戦とは、どのような規模のものだろうか。最近、国防総省の反政府活動鎮圧作戦アドバイザー、デイビッド・キルカレン氏が上院外交委員会で証言した。

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