1月29日、日本銀行は金融政策決定会合で「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を決めた。2%の物価安定の目標を安定的に持続するために、この新政策を導入したという。金融機関が日銀に任意で預ける当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を適用する。この「マイナス金利」の実施は、2月16日からだが、早くもその効果が表れ始めている。
日銀保有の国債残高が民間銀行を上回る
日銀は2013年4月以降、「量的・質的金融緩和」を実施する中で、大量の国債を金融機関から市場を通じて買い入れてきた。これによって、金融機関に資金を大量に供給したが、国債を買い入れたほどには民間企業等への貸し出しは増えず、多くは日銀の当座預金に預けられてその残高が増加する一方だった。マイナス金利導入は、この状況の打開策と言える。
このままだと、日銀が民間からこれ以上追加して国債を買い入れられなくなり、金融緩和策の限界に直面するところだった。日銀は年間80兆円のペースで新発国債を民間から買い入れしており、2015年の買い入れ額は、新発分に加えて償還分を含めると年間約110兆円になるとみられ、日本政府が示した2015年度の国債発行計画における満期が1年超の国債発行額126.4兆円の9割弱に達する。そして、2015年末には民間銀行が保有する国債残高より日銀が保有する国債残高の方が上回る見通しである。
この日銀による大量の国債買い入れにより、日本の国債金利(新発10年物)は、1月の金融政策決定会合前には0.2%前後まで低下していた。国債買い入れによって、民間に資金を供給するだけでなく、日銀が直接的には操作できない長期金利を、間接的に引き下げる効果もあった。
これらは、何を隠そう2%の物価安定目標、つまりデフレ脱却を図るために講じられているものである。この点は、何をおいても忘れてはならない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら