どの企業が、法人実効税率引き下げで恩恵を受けるか。2015年12月24日に閣議決定された「平成28年度税制改正大綱」。消費税の軽減税率が最も注目を集めたが、同時期に議論して決まったのが法人実効税率の引き下げだった。
2015年度から2018年度にかけて、もう1段の法人実効税率の引き下げを行うことを決めた結果、2014年度の34.62%から2018年度には29.74%に引き下げられることとなった。安倍晋三内閣で2014年6月に閣議決定していた「基本方針2014」で、「数年で法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指す」と記した公約を、実現したこととなる。
代替財源は外形標準課税の拡大
首相官邸サイドは税率引き下げに強くこだわった。しかし、この法人税改革は、法人実効税率の引き下げと課税ベースの拡大による財源確保をパッケージで行うことが、永田町・霞が関の了解事項だった。その点は、東洋経済オンラインの本連載でも、拙稿「法人税減税、実をとった財務省と総務省 法人税改革決着の舞台裏を検証する」で、2014年末の経緯を記している。
法人実効税率を20%台に引き下げることによって減収となる分の代替財源は、法人事業税における外形標準課税の拡大で多くを賄うこととなった。
要するに、法人実効税率を引き下げて減税する代わりに、法人事業税における外形標準課税(後で詳述)の税率を引き上げて増税することとなったのだ。日本全体では、その減税と増税はほぼ同額(厳密に言えば若干の減税)となるように法人税改革が行われる。この法人税改革は、税収中立となるから、減税となる企業があるならば、必ず増税となる企業が出てくる。
まさに、この法人税改革で恩恵を受ける企業がある一方、打撃を受ける企業が出てくることになる。では、どのような企業が恩恵を受けるのか。それを探る上で、先にわが国の法人税制を解説しよう。
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