日新化成工業の「動物園経営」がユニークだ 社長は蜜蜂、社員はコンドルやポニーに

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机の上にあるプラカードで、誰がどの動物を目標にしているかが一目瞭然

でも日新化成工業さんの「動物目標管理制度」は、一味違います。全員、自分の机の上に、行動目標とした動物のプラカードを掲げています。それで誰がどの動物を目標としているか、一目瞭然です。

「さすがコンドル林。新規開拓数、ナンバーワンやな」

日々、新規顧客の開拓に奮戦中の社員にそんな声がかかります。

「おうポニー田中。伝票処理が早くなったやないか」

女子社員も、そんな励ましにニッコリします。

これぞ、究極の「目標の見える化」だな、と思いました。目標というふわふわしたものが、動物という具体的イメージによって、見事に定着しているのです。

楽しい職場から新しい発想が生まれる

この動物園職場、2004年に誕生しました。旭山動物園の再生のドラマがテレビで話題になったのは、その翌年ぐらいでしょうか。だから、「Nissin Zoo」はまったくのオリジナルです。でもおかげで、テレビや雑誌の取材もたくさん受けたそうです。注目されるので、当然、社員の方々のやる気も上がります。同時期にISO14001の認定も受け、売り上げも20億円を超えるところまで成長しました。

でもこの日新動物園、一朝一夕で生まれたのではありません。片岡社長の粘り強い取り組みがあったからこそ、皆も素直に(?)動物になったのです。

片岡社長が最初に発表したスローガンは「知識の組織化 目指せオンリーワン!」でした。狙いは、女性も含めた全スタッフが「決意表明書」を作成し、社長に提出させることでした。しかしそれが定着するには、6年の歳月を要したそうです。

その後の3年間は「一心・日新・一新」にしました。そこに社名の「日新」が入っていますが、この言葉は古代中国の逸話からとられています。殷の開祖・湯王(とうおう)が、顔を洗う水盤に「苟(まことに)日新、日日新、又日新」と彫らせ、つねに新たな気持ちで政治に取り組んだことにあやかろうと、創業者である片岡社長のお祖父さんが命名したそうです。

そして次の3年のスローガン「3E(enjoy・easy・excite) 3S(simple・speed・smile)」を経て、ようやく、Nissin Zooが開園するのです。名付けて「Nissin Zooは不思議いっぱい」。片岡社長が最初のスローガンを発表してからすでに10年が経っていました。

各自が行動目標とするオンリーワンの動物を選び、会社を皆に愛される動物園にすると共に、自分たちも愛されるキャラクターになって“不思議”をいっぱい取り込んでいこう、という宣言です。

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